再生・細胞医薬分野のCDMO合弁会社「エスラクモ」住友化学が出資比率を66.6%に引き上げ 住友ファーマ

 住友ファーマは30日、住友化学との再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などの受託(CDMO)事業を行う合弁会社 S-RACMO(エスラクモ)について、出資比率を本年10月1日付で変更し、住友化学が49から66.6%に持分比率を引き上げ、事業運営を主導することに合意したと発表した。
 細胞治療の分野は、2022 年時点で市場規模は約20億米ドル、今後も年率10~15%の急速な伸びが見込まれている。こうした中、2020 年に設立、営業開始した S-RACMO は、住友化学が有するiPS/ES 細胞の基盤技術や医薬品の受託製造に関するノウハウと、住友ファーマが再生・細胞医薬事業における長年の研究および複数のプロジェクトで培った高度な製法開発や製剤開発などのノウハウを活用し、再生・細胞医薬のCDMOに関わるケイパビリティの蓄積および高度化に取り組んできた。
 2021年に竣工した製造棟に加え、2025年竣工予定の製造新棟を建設中であり、損益面でも2021年度以降3期連続の黒字、増益を達成するなど順調に事業拡大を進めてきた。
 住友化学は、経営戦略説明会(2024年4月30日実施)で公表した通り、低分子医薬原薬・中間体および再生・細胞医療のCDMO事業をはじめとした先端医療関連事業を新成長領域のコアとし、次世代の成長ドライバーとすべく事業育成を進めている。
 今回の住友化学の持分比率引き上げは、再生・細胞医療のCDMO事業の早期育成に対する住友化学のコミットメントを示すものであり、今後、住友化学が主導することで、現在 S-RACMOが建設中の再生・細胞医薬製造新棟活用、米国進出などを加速する。
 また、住友ファーマは、再生・細胞医薬事業において、iPS細胞を用いた細胞製品開発の「フロントランナー」として、世界初のiPS細胞由来製品の上市を目指している。住友化学および住友ファーマの両社は、こうした再生・細胞医薬の研究開発、ならびに、製造・販売体制に関してもグループシナジーの最大化を図るため、2024年度中に共同の新会社設立を計画しており、詳細が確定すれば適切な時期に公表する予定である。
 なお、再生・細胞医薬分野の CDMO 事業会社および 建設中の再生・細胞医薬製造新棟の概要は、次の通り。

【再生・細胞医薬分野のCDMO事業会社の概要】

◆会社名:S-RACMO 株式会社
※「S-RACMO」(エスラクモ)は、「Sumitomo」と「Regenerative And Cellular Medicine Organization」を組み合わせた造語。

◆所在地:大阪府吹田市江の木町 33-94(住友ファーマの総合研究所内)

◆代表者:代表取締役社長 土田敦之氏
◆事業内容:再生・細胞医薬分野の製法開発、製造などの受託

◆資本金:5000 万円

◆設立年月日 2020 年 9 月 1 日

◆株主構成 住友化学 66.6%、住友ファーマ 33.4%(2024 年 10 月 1 日以降)

【建設中の再生・細胞医薬製造新棟の概要】

◆所在地:大阪府吹田市江の木町 33-94(住友ファーマの総合研究所内)

◆規模:2 階建て

◆延床面積:約1800 ㎡

◆着工:2024 年 7 月

◆完成:2025 年7月(予定)

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