検査AIをアニサキス検知に採用 アイエムパック

 アイエムパックは13日、MENOUが提供する外観検査システム「検査AI MENOU」を、カネコメ高岡商店(本社:北海道根室市)のアニサキスの検知システムとして導入したと発表した。
 同アニサキス検知のシステム化の取り組みについては、6月19日に東京ビッグサイトで開催される「ものづくりワールド[東京]2024」の特別講演で紹介される。
 同検知システムは、装置化及びアニサキス検知AI学習などの技術にアイエムパックと根室スチレン(本社:北海道根室市)、AIを用いた外観検査システムの提供をMENOU、さらに解析用コンピューター提供および検知システム設計支援にアプライド(本社:福岡市)の協力により提供されているもの。
 アニサキス起因の食中毒は10年で7倍に急増している。日本では刺身などの生食文化により、生魚に潜むアニサキスによる食中毒被害が多く、厚労省発表の「食中毒統計資料」では、2019年から2023年までの5カ年内で発生した食中毒の内およそ半数の45.8%が寄生虫による食中毒であることがわかっている。
 また、同資料から2013年から2023年の10年間でのアニサキスによる食中毒被害件数は、1番少なかった2014年時の79件から2022年には7倍の566件に増加していることが報告されている。
 この急激な増加は、昨今の輸送技術の向上によって、魚を冷凍せずに全国に輸送することが可能となり、アニサキスが生きたまま運ばれるようになったことが原因と考えられている。また、これまでのアニサキス検査は、人による目視検査が主だったため、すべてのアニサキスを検出・排除をすることができず、日本では年間を通し食中毒被害が発生し続けている状況である。

出典:厚労省「食中毒統計資料」2013年~2023年「食中毒発生状況」アニサキス事件件数より作成

熟練検査員の高度なノウハウをAIに置き換え、高精度検査を自動化

 検査AI MENOU は、これまで人が行っていた目視検査をAIを用いて自動化する。アニサキスが付着している生魚の画像数枚から、熟練検査員の暗黙知やノウハウを検査AIに学習させることが可能だ。
 これにより人の行っている高度な検査を自動化し、業務負担の軽減による省人化と人による検査精度のバラつきをなくす。
 また、検査AIは、特徴を捉えることに優れており、形状や大きさの異なる寄生虫や、目視検査では検知が難しい微細な寄生虫も高精度で検知し、検査の効率だけではなく検査レベルを高精度で保ち、品質を守る。検査 AI MENOU の効果とメリットは、次の通り。

1、個体ごとに形状や大きさの異なる寄生虫も逃さず検出

2、検査の自動化により、負担軽減と省人化を可能に

3、目視検査によるバラつきを無くし、検査精度の向上と維持を実現

4、顕微鏡検査などの小さい物質にも活用可能

◆高岡義政カネコメ高岡商店代表取締役専務のコメント

 私どもの会社は、『根室の味を全国へ』をモットーに、新鮮な海産物を日本全国に届けてきた。新鮮で安全な海産物を消費者の皆さんへ提供するため、毎日数百匹のアニサキス検査を一つ一つ手作業で行っているが、検査には非常に神経を使い、業務効率化や人材不足の課題も抱えていた。
 今回のAI検査システムは、アニサキスを瞬時に検出し、人の目だけでは見逃してしまうような微細なものも逃さない。将来的には検査ラインの自動化を目指し、今まで以上に安心、安全な商品を提供できることを期待している。

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