令和6年能登半島地震における災害時支援活動を総括 日本臨床検査技師会

医療支援のみならず、健康支援、生活環境の改善をサポート

 日本臨床衛生検査技師会(日臨技)は4日、災害救助法に基づいて臨床検査技師を派遣した令和6年能登半島地震における同会会員の災害時支援活動の総括を発表した。同活動では、災害時支援活動、医療支援のみならず、健康支援、生活環境の改善をサポートも行われたことが大きなトピックスとなった。
 日臨技では、能登半島地震が発生した本年1月1日当日、 直ちに日臨技執行部および事務局で被害状況の確認を行い、1月2日に災害対策本部を立ち上げた。
 その後、都道府県臨床検査技師会との連携のもと、被災地における臨床検査データの安全・安心な提供及び被災された住民の疾病を予防するため、特に被害の大きかった珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、七尾市を中心に、約3ヵ月にわたり継続的に臨床検査技師の派遣を行った。
 能登半島地震が発生した翌日の1月2日、宮島喜文代表理事会長を本部長とする 「災害対策本部」を立ち上げた。被害状況に関する情報より、すでに広範囲で大きな被害や被災者が報道で確認できたため、日臨技として外部からの救援活動が必要と判断した。
 情報収集や今後の活動方針決定のために、1月5日には日臨技の執行理事をリエゾンとして石川県庁に設置された石川県保健医療福祉調整本部に派遣した。リエゾンは、2月21日まで駐在し、現地での情報収集と関係機関との連絡をとった。支援活動の具体的な内容、今後の課題、総括は次の通り。

【支援活動の具体的な内容】

1、人的支援
 日臨技では被災地の臨床検査技師会等と連携し、被災地の状況の変化(医療機関臨床検査室の機能状況、避難所・医療救護所等の変動など)を踏まえつつ、各都道府県臨床検査技師会に登録された臨床検査技師を被災地へ継続的に派遣した。

◆臨床検査室の機能維持のための病院支援/1月8日から開始し、延べ249名により行われた。
 公立穴水総合病院、公立宇出津総合病院、市立輪島病院で実施

◆避難所での医療活動/1月7日から開始され、延べ245名により行われた。

・1.5次避難所(いしかわ総合スポーツセンター内)開設に伴う人的支援者の派遣

・弾性ストッキングの避難所での配布・指導活動に伴う人的支援者の派遣

・災害派遣福祉チームによるDVT(深部静脈血栓症)検診活動実施のための人的支援者の派遣

・JMAT部隊によるDVT検診活動実施のための人的支援者の派遣

2、物的支援
 臨床検査に関わる5団体を会員組織として構成する日本臨床検査振興協議会では、大規模災害が発生した場合、行政、関連団体および関連機関等の要請に応じ、社会的責務としてその必要な対策を実施するため、大規模災害対策委員会が立ち上げられている。
 会員組織の協力により、医療の機能復旧維持のため、1)体外診断用医薬品、2)臨床検査用医療機器、3)臨床検査用医療機器を運用するために必要とする消耗品等を支援提供することを基本方針としている。
 能登半島地震は、物的支援活動を実施する対象となり、日臨技では、臨床検査機器の貸し出し及び試薬の提供を行った。

3、被災者への支援
◆石川県への義援金納付
 2月14日、当会としての災害義援金50万円を、石川県東京事務所を介して寄付した。

◆被災会員への会費減免
 同会では、地震、台風、水害等の天災地変により経済的損失を被った会員を対象とする会費減免制度を行っており、申請後、承認された事業年度の翌年度の会費を減免している。

4、地域医療の復興にむけた取り組み

◆公立穴水総合病院における求人支援
 能登半島地震で被害を受けた石川県内の病院検査室のうち、公立穴水総合病院においては、被災前から医療資源の少ない地域であった等の影響もあり、災害救助法が適用される3月末以降においても体制を整えるために支援が必要と考えられた。
 地震発生から2ヶ月が過ぎたことを受け、日臨技として臨床検査技師の現地への災害対応による人的支援は区切りをつけ、今後は復興のため、現地検査室での検査技師の採用協力にシフトすることになった。
 求人情報を日臨技ホームページで周知を行うとともに、一般社団法人日本臨床検査学教育協議会と連携して求人の協力を行った。

【今後の課題】
 過去の災害支援活動時の課題をクリアにしながら、今回の能登半島地震支援活動を実施した結果、次の新たな課題・改善点もみえてきた。

①初動体制

②被災地における臨床検査薬等の供給

③臨床検査技師の派遣

④臨床検査技師による派遣者の宿泊先の確保

⑤都道府県臨床(衛生)検査技師会における対応

⑥新たに実施した活動におけるマニュアルの作成と活動定着化のための訓練

⑦限られた医療資源を効果的に分配するため、当会としての方針の策定

【総括】
 各被災地で臨床検査技師は臨床検査技師等に関する法律第2条に明記されている「検体検査」、 「生理学的検査」および第11条に明記されている「採血」、「検体採取」というすべてを包括した活動を行った。臨床検査技師の活動が被災地の皆様への医療支援のみならず、健康支援や生活環境の改善にまで寄与できたのは、医療専門職としての負託に応えることができた。
 過去の東日本大震災や熊本震災においても、臨床検査技師による支援活動が行われたが、これら過去の支援活動と比べ、①日本医師会や都道府県をはじめとする関係行政・団体と連携して活動を実施、②.臨床検査技師が医療チームの一員として、他の医療職と連携して災害医療に貢献、③過去の支援活動がボランティア活動であったのに対し、今回の臨床検査技師派遣は災害救助法に基づくものとなった、④石川県保健医療福祉調整本部における医薬品の供給体制と連携した臨床検査薬及び機器の提供・貸し出しが効果を挙げた、⑤多くの業務担当分野の臨床検査技師が参加したーなどの意義が大きい。
  

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