リムパーザ 前立腺がんのP3試験で死亡リスク31%低減  アストラゼネカ

 アストラゼネカは29日、リムパーザについて、P3相臨床試験(PROfound試験)において、転移性去勢抵抗性前立腺がんの死亡リスクを31%低減したと発表した。同試験の対象疾患は、相同組換え修復関連(HRR)遺伝子変異のうち、BRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)。
 PROfound試験のデータ解析の結果、エンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン)と比較して、全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長が示された。
 PROfound試験は、前治療として新規ホルモン製剤であるエンザルタミドまたはアビラテロンの投与中に、病勢進行が認められた患者を対象に実施された。前立腺がんは男性において2番目に罹患率が高いがんで、2018年には世界中で推定130万人が新たに前立腺がんと診断されている。また、HRR遺伝子変異は、mCRPC患者の約20~30%に発現している。
 主要な副次評価項目であるOSで、リムパーザは、エンザルタミドまたはアビラテロンと比較して、死亡リスクを31%低減した(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.50~0.97、p=0.0175)。エンザルタミドまたはアビラテロン投与群の患者の66%が、病勢進行後にリムパーザをクロスオーバーして投与されていたにも関わらず、OSの中央値はエンザルタミドまたはアビラテロン投与群では14.7カ月であったのに対し、リムパーザ投与群では19.1カ月であった。
 HRR遺伝子(BRCA1/2、ATM、CDK12およびその他11のHRR遺伝子)変異を有する全患者を含めた集団を対象に行った探索的解析でも、エンザルタミドまたはアビラテロン投与群と比較して、リムパーザ投与群で死亡リスクが21%低減し、OSの延長傾向を示した(HR:0.79、95%CI:0.61~1.03)。
 OSの中央値は、エンザルタミドまたはアビラテロン投与群では14.0カ月であったのに対し、リムパーザ投与群では17.3カ月であった。
 PROfound試験の治験責任医師の一人で、The Institute for Cancer Researchの医薬品開発部門および王立マースデン病院責任者のJohann de Bono氏は、「PROfound試験の結果によって、リムパーザが今後、これまで予後が不良で治療選択肢がほとんどなかった患者に、分子レベルを標的とする治療として、プレシジョン・メディシンという新たな時代の薬剤として、前立腺がんの治療において重要な役割を担う可能性が示された」とコメントしている。
一方、リムパーザ投与群全体で発現率が20%以上の有害事象は、貧血(50%)、悪心(43%)、疲労/無力症(42%)、食欲減退(31%)、下痢(21%)および嘔吐(20%)であった。CTCAEグレード3以上で発現率が高かった有害事象は、貧血(23%)、悪心(2%)、疲労/無力症(3%)、食欲減退(2%)および下痢(1%)。リムパーザ投与群の患者の20%が有害事象により投与を中止した。
 P3相PROfound試験では、リムパーザがBRCA1/2遺伝子またはATM遺伝子変異陽性の患者集団において、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の有意な延長を示し、2019年8月に、主要評価項目を達成した。
 同試験では、主要な副次的評価項目である全HRR遺伝子変異を有する患者集団におけるrPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長も達成しており、これは2020年5月の米国による承認の根拠となっている。EUやその他の国においても規制当局による審査が進行中。
 アストラゼネカとMSDは、リムパーザとアビラテロンとの併用療法を、mCRPCの1次治療として、アビラテロン単剤療法と比較して評価するために実施中のP3相PROpel試験など、転移性前立腺がんに関する臨床試験を今後も実施していく。同試験のデータは、2021年に解析予定である。

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