DNDiとのシャーガス病治療薬共同研究に対しGHIT Fundが2.94億円助成 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は9日、「顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ」(DNDi)と共同研究を進めているシャーガス病治療薬候補となるリード化合物の最適化を進める2年間のプロジェクトについて、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)から2.94億円の助成を受けると発表した。
 DNDiは、非営利の医薬品開発に取り組む国際的な組織で、両者の共同研究により“顧みられない熱帯病”の一つであるシャーガス病治療薬の候補となるリード化合物を取得した。今回、この最適化を進める2年間のプロジェクトについて、GHIT Fundから助成を受けるもの。
 田辺三菱製薬とDNDiは、2019年9月にGHIT Fundの資金を活用したシャーガス病に対するヒット化合物探索スクリーニングプログラムでの共同研究を開始した。2021年4月からはリード化合物創出をめざしたHL(Hit to Lead)研究を始めており、同研究においてシャーガス病前臨床モデルで有効性を確認したリード化合物の取得に成功した。
 今後は、次のステージとなる開発候補品の創出をめざしたLO(Lead Optimization)研究を進めていく。また、2023年秋には、同共同研究の成果について「DNDi 2023 Projects of the Year in pre-clinical research」を共同受賞した。
 シャーガス病は、寄生虫(Trypanosoma cruzi)の感染により引き起こされ、治療が行われないと死に至る場合もある疾患で、年間に約1万人が死亡している。
 現在使用されている薬剤は2つのみで、いずれも慢性期に対する有効性および忍容性の低さ、投与期間が長いといった課題があり、新薬が望まれている。
 田辺三菱製薬は、取り組むべきマテリアリティの中で、“医療アクセスの向上”を掲げている。アンメット・メディカル・ニーズに応える医薬品の創製とともに、GHIT Fundへの参画などを通じ開発途上国の感染症治療アクセス向上に貢献することで、病と向き合うすべての人に希望ある選択肢を提供していく。

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