アストラゼネカは26日、ファセンラ皮下注シリンジ
について、小児に対する重症気管支喘息治療薬として日本で承認を取得したと発表した。対象は、既存治療によっても喘息症状をコントロールできない6歳以上の小児の難治の気管支喘息。
ファセンラは日本において、成人の気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)を適応症として2018年1月に承認されている。
今回の承認は、国際共同P3試験(TATE試験、日本人被験者を含む)の結果に基づくもの。
TATE試験において、小児のベンラリズマブの薬物動態(PK)は成人及び青少年の気管支喘息患者とのわずかな違いが認められたが、薬力学(PD)(末梢血の好酸球数のほぼ完全な除去)及び安全性プロファイルは、成人及び青少年の気管支喘息患者と同様であった。さらに、10mg/30mg 投与群では呼吸機能の数値的な上昇、ACQ-IAの数値的な低下が認められた。
ファセンラは、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジの注射剤で、初回、4 週後、8 週後に皮下に注射し、以降、8 週間隔で皮下に注射する。
日本において、気管支喘息の入院および外来等の推計患者数は約91.8万人で、14 歳までの小児における推計患者数は約38.1万人と言われている。小児気管支喘息において、患者の約10%は重症気管支喘息に罹患しており、過去1カ月の間に吸入の喘息長期管理薬を使用しているにもかかわらず、コントロール不良な患者は27%存在すると推定されている。
コントロール不良の重症気管支喘息患者に対しては生物学的製剤の使用が推奨されているが、生物学的製剤の導入は限定的であり、小児においてその割合は 10%未満となっている。
日本小児アレルギー学会疫学委員会の調査によると、小児気管支喘息患者さんにおいて、見かけの重症度分類による割合は間欠型30~50%、軽症持続型30~40%、中等症持続型10~20%程度、重症持続型10%以下であった。
コントロール不良の小児気管支喘息患者は、気管支喘息のために睡眠が妨げられることや、学校を欠席せざるを得ないことがある。また、保護者は子供の気管支喘息が原因で仕事が制限されるなど、QOLの低下を余儀なくされている。
◆大津智子アストラゼネカ執行役員研究開発本部長のコメント
ファセンラは、既に多くの成人の重症気管支喘息患者さんの症状コントロールに貢献しているが、今回の承認により小児患者さんにもファセンラをお届けできるようになった。
成人同様、初回3回は 4週毎、以降8週間隔の投与が可能となることからも小児患者さんと保護者の方々の負担が少しでも軽減できることを期待している。