2024年度業績の黒字転換を強調 住友ファーマ野村博社長

野村氏

 住友ファーマは31日、ライブ配信による2023年度第3四半期決算説明会を開催し、野村博社長が2023年度業績予想下方修正の主要因となった北米の基幹3製品について言及。
 「3Q計画においてそれぞれの売上高は1億ドル程度下回った。売上予測の中に製品のポテンシャルに対する期待度が過分に入っていたが、これらは年々伸びていく製品である」と明言した。その上で、「我々が想定したレベルより成長度合いが遅いだけで、製品そのものが悪いわけではない。一定のところまで行けば、後は水平飛行になると考えている。それほど悲観していない」と言い切った。
 2023年度は1410億円の最終赤字を見込んでいるが、「我々は当面債務があるのでメインバンクと相談している」と明かし、「2024年度は黒字化目標を設定している。黒字幅の大きさはともかく、黒字転換を達成する」考えを強調した。
 開発中の抗がん剤のTP-3654(骨髄線維症)DSP-5336(急性白血病)については、「現時点で強いエビデンスが出ている。これらを中期経営計画 2027中に上市したい」と期待を寄せた。
 北米の基幹3製品として、進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」、過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」ーがある。
 各製品の3Q計画における売上高と達成率は、オルゴビクス309億円(達成率81.4%)、マイフェンブリー71億円(同42.6%)、ジェムテサ249億円(同70.8%)。
 オルゴビクスは、主にシェア拡大が予想より遅れたため、3Q従来計画が未達となった。野村氏は、「これまで前立腺がん治療は注射剤を主としていたため、初めての経口剤である同剤は医師にとってなじみが薄い」とした上で、「だが60%を超える患者は経口剤を望んでいる。経済的負担の情報提供も含めてそのギャップを埋めていく戦略を取っていく」と述べた。
 マイフェンブリーの計画未達は、子宮筋腫および子宮内膜症におけるGnRH市場の拡大遅延、子宮内膜症のシェア拡大が遅れたことによるもの。
 米国の産婦人科は基本的に外科医が多く、子宮筋腫・子宮内膜症は手術での治療が多い。また、患者は、まず、低用量ピルからエントリーする。従って、「医師や患者にマイフェンブリーのオプションの存在をしっかりアピールしていく必要がある」(野村氏)
今後のマーケット戦略では、「子宮筋腫・子宮内膜症において、GnRH阻害剤をピル無効例に対する最初の治療選択肢となるよう訴求内容の最適化」、「SNSを含むDTCを活用した子宮筋腫・子宮内膜症の患者の認知度向上(2024年3月:子宮内膜症啓発月間の活用)」などを図る。
 ジェムテサは、メディケアパートDの処方割合の増加に伴う価格の悪化が3Q従来計画未達の主要因となった。
プライマリケア市場の強化に向けた営業チームおよび活動内容の最適化を図り、「セールスレップの人数を増やして訴求していく」。
 住友ファーマでは、抗がん剤の開発を2011年から開始し、13年目を迎える。その間、様々なチャレンジを行ってきたが成功には至らなかった。だが、TP-3654およびDSP-5336において強いエビデンスが確認されている。
 野村氏は、「中期計画中に上市して、しっかりと育薬していきたい。特に、骨髄線維症は治療オプションが無いので、その治療に貢献したい。これらのがん事業がうまく行けば大きなマイルストーンとなり、後に続くプログラムにも勢いがつく」と力強く語った。
 DSP-5336は、急性骨髄性白血病を適応症として、2026年度内に日本および米国での承認取得を目指している。
 また、2024年度は、再生・細胞医薬事業でパーキンソン病を対象に医師主導治験が行われていたiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞移植の結果が得られる予定である。
 今後の見通しについて野村氏は、「基幹3製品が一定レベルに達すればボトムラインの利益が確保できる。その上に、iPS細胞によるパーキンソン病治療、TP-3654およびDSP-5336が出てくれば、さらなる上乗せが期待できる」と力を込めた。
 さらに、「基幹3製品は、期待しているレベルよりも成長度合いが遅いだけで、製品のポテンシャルは高い」と再度強調。気になる基幹3製品が一定レベルになる時期については、「様々なコスト構造を検討して、もう一度事業計画を作り直している」と述べた。

タイトルとURLをコピーしました