男性のストレスは38歳をピークに55歳まで高水準続く ドクタートラスト

 ドクタートラストのストレスチェック研究所では、ストレスチェックサービスを利用した累計受検者200万人超のデータを活用し、さまざまな分析を行っている。
 今回は2022年度にストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、高ストレス者(E判定)となった3万1980人のデータをもとに、男性の年齢別に高ストレス者率分布を分析した。
 その結果、男性のストレスは38歳をピークに55歳まで高水準が続くことが判明した。なお、働く女性のストレスは32歳と37歳がピークとなることが同社の女性年齢別高ストレス者率分布より算出されている。
 今回調査概要、調査結果のポイント、詳細は、次の通り。
【調査概要】
◆調査期間:2022年4月1日~2023年3月31日

◆調査対象:ドクタートラスト・ストレスチェック実施サービス2022年度契約企業・団体の一部

◆有効受検者数:21万3057人

【調査結果のポイント】

・ 高ストレス者率が最も高いのは38歳。26歳から55歳にかけて比較的高い水準を維持

・ 60歳を過ぎると高ストレス者率は著しく減少する傾向

 ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促し、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定され、2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられている。
 高ストレス者率とは、実際に受検をした人の中で、高ストレス状態であると判定された人がどれくらいいるかを示した割合である。

<高ストレス者とは>

・ ストレスの自覚症状が高い人

・ ストレスの自覚症状が一定程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポート状況が著しく悪いと判定された人

 ドクタートラストのストレスチェックは、個人のストレスレベルを5段階(A~E)で評価している。Aはストレスが最も低く、Eが最も高いとされる。

図1

 図1は、男性受検者全体(18歳から65歳)のストレス度合の分布である。高ストレス者(E判定)率は、15.01%であった。

 次に、これらのうち高ストレス者と判定された合計3万1980人のデータをもとに、年齢別の高ストレス者率分布を分析した。調査結果は、次の通り。

1、 男性の高ストレス者率は30代後半が最も高く、60~65歳が最も低い

図2

 図2は男性の過去4年分における年代別の高ストレス者率分布である。
 高ストレス者率が最も高かったのは、2019・20・21年度が「30代前半」、2022年度が「30代後半」であった。高ストレス者率は30代を中心に高くなる傾向があり、2023年度も同様の傾向がみられるかもしれない。
 一方で、過去4年継続して同比率が最も低かったのは、「60~65歳」であった。2023年度でも60歳を過ぎると高ストレス者は著しく下がる傾向がみられる可能性がある。

2、 男性の高ストレス者率は38歳が最も高く、65歳が最も低い

図3

 図3は、2022年度の男性の年齢別高ストレス者率である。
 男性で高ストレス者率が最も高いのは、38歳(18.25%)で、39歳(18.16%)、45歳(17.86%)、36歳(17.85%)、35歳(17.77%)と続く。

 一方で、同比率が最も低いのは65歳(5.60%)で、64歳(5.71%)、63歳(6.94%)、62歳(8.54%)、61歳(9.03%)と続く。
 さらに、26歳から55歳までは継続して高ストレス者率が平均よりも高いことが伺えた。

【総括】
 男性の年齢と高ストレス者率の関係性を調査した結果、高ストレス者率は26歳から55歳にかけて比較的高い水準を維持し、38歳が最も高い傾向がうかがえた。過去の4年分を見ても、30代になると、高ストレス者率が高くなる傾向があるようだ。
 一方、60歳を過ぎると同比率は著しく下がる傾向がある。
 「令和4年 労働安全衛生調査」(厚生労働省)では、仕事や職業生活に関する強いストレスとして男性の回答率は、「仕事の量」が最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」、「仕事の質」であった。
 また、2015年に発表された「五カ国マネジャー調査」(リクルートホールディングス)によると、標準の昇進年齢は課長38.6歳、部長44.0歳であり、業務量に限らず、昇進等による責任の増加も高ストレス者率が高まる主要因となるのかもしれない。
 ストレスは、昇進などのポジティブな出来事によっても高くなるので、日々のストレスへの気づきを高めることが重要である。

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