オプジーボ、シスプラチン、ゲムシタビンの併用療法 米国FDAが成人尿路上皮がん一次治療薬として承認 小野薬品

 小野薬品は12日、オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法について、米国FDAが切除不能または転移性尿路上皮がん(UC)の成人患者のファーストライン治療薬として承認したと発表した。提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が7日に公表したもの。
 膀胱がんは米国で6番目に多いがんであり、2024年には8万3190人が新たに診断されると推測されており、UCは、膀胱がんの最も一般的な型である。
 今回の承認は、未治療の切除不能または転移性UC患者を対象に、オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法と、それに続くオプジーボの単独療法(304例)をシスプラチンおよびゲムシタビンによる併用療法(304例)と比較評価したP3相CheckMate-901試験の結果に基づいている。
 CheckMate-901試験の主要有効性評価項目は、全生存期間(OS)および盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価による無増悪生存期間(PFS)である。
 同試験では、中央値約33カ月の追跡調査において、オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法群は、死亡リスクを22%低減し(ハザード比 [HR] 0.78;95% 信頼区間 [CI]:0.63 – 0.96;p=0.0171)、OSの中央値は、同併用療法群で21.7カ月、シスプラチンおよびゲムシタビン群で18.9カ月であった。
 オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法群は、病勢進行または死亡リスクを28%低減し(HR 0.72;95% CI:0.59 – 0.88;p=0.0012)、PFSの中央値は、同併用療法群で7.9カ月、シスプラチンおよびゲムシタビン群で7.6カ月であった。
 また、探索的解析において奏効率(ORR)は、同併用療法群(175例)で57.6%(95% CI:51.8 – 63.2)、シスプラチンおよびゲムシタビン群(131例)で43.1%(95% CI:37.5 – 48.9)であった。完全奏効(CR)率と部分奏効(PR)率は、同併用療法群で各々22%(66例)と36%(109例)、シスプラチンおよびゲムシタビン群で各々12%(36例)と31%(95例)であった。
 安全性プロファイルでは、重篤な副作用が、オプジーボと化学療法の併用療法の患者の48%で発現した。オプジーボと化学療法の併用療法群で頻繁(2%以上)に報告された重篤な副作用は、尿路感染症(4.9%)、急性腎障害(4.3%)、貧血(3%)、肺塞栓症(2.6%)、敗血症(2.3%)および血小板減少症(2.3%)であった。多く(患者の20%以上)報告された副作用は、悪心、疲労、筋骨格痛、便秘、食欲減退、発疹、嘔吐および末梢神経障害であった。
 一方、致死的な副作用は、オプジーボと化学療法の併用療法の患者の3.6%で発現した。これらには敗血症(1%)が含まれている。副作用のため、オプジーボおよび/または化学療法は患者の30%で投与が中止され、67%で投与が延期された。
 FDAは、これまでにUCの根治的切除を受けた後に再発リスクが高いUCの成人患者の術後補助療法としてオプジーボを承認している。また、FDAは、プラチナ製剤を含む化学療法中またはその後に病勢進行、またはプラチナ製剤を含む化学療法の術前補助または術後補助療法後12カ月以内に病勢進行した局所進行または転移性UCの成人患者の治療薬としてオプジーボを承認している。
 今回の承認に至ったBMSの生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)は、FDAにより優先審査の対象に認められ、一刻も早く安全かつ有効な治療薬を患者さんに提供することを目的とするFDAのリアルタイムオンコロジーレビュー(RTOR)パイロットプログラムの下に承認された 。
 審査は、他の複数の国の規制当局による同時審査が可能であるFDAのProject Orbisイニシアチブの下でも実施されており、現在もこれらの国では審査が継続している。 

◆P1臨床研究ユニット医学部長のGuru P. Sonpavde氏(AdventHealthがん研究所泌尿生殖器腫瘍科、MD)およびChristopher K. Glanz同研究所会長のコメント
 この承認は、患者さんがより長く生存できるようにファーストライン治療において新たな差別化できるアプローチが必要とされ、これまで治療が困難であった状況において重要な進歩を示すものである。
 CheckMate-901試験で認められた結果と安全性プロファイルに基づき、オプジーボとシスプラチンおよびゲムシタビンの併用療法が承認されたことにより、特定の患者さんに対して転移性または切除不能な尿路上皮がんの治療法を著しく変え、新たな希望をもたらす可能性がある。

◆Wendy Short Bartie BMSシニアバイスプレジデント、ジェネラルマネージャー兼米国の血液腫瘍領域責任者のコメント
 尿路上皮がんのファーストライン治療においてオプジーボを化学療法と併用療法することは、膀胱がんを含む多くのがん治療の変革に貢献してきた当社の免疫療法の研究と進歩の歴史における最新の成果である。
 このマイルストンは、泌尿生殖器がんにおけるオプジーボを含む治療のポートフォリオを顕著に拡大するものであり、尿路上皮がんにおいては病期ステージおよび治療ニーズにわたり、現在3つの適応を提供できることになる。

タイトルとURLをコピーしました