EOHILIA FDAが好酸球性食道炎に対する初めてかつ唯一の経口治療薬として承認 武田薬品

 武田薬品は13日、EOHILIA(一般名:ブデソニド経口懸濁液)について、11歳以上の好酸球性食道炎(EoE)患者を対象とした初めてかつ唯一の経口治療薬として米国FDAから承認を取得したと発表した。2月末に2 mg/10 mLの利便性の高い単回投与スティック包装で提供する予定だ。
 EOHILIAは、11歳以上のEoE患者への12週間の投与を適応とするコルチコステロイド薬である。EoEに特化して開発された新規のブデソニド製剤で、振ることで流動性が高まり、飲み込むと粘度の高い状態に戻るという揺変性を有する。
 今回のFDAによるEOHILIAの 2 mg 1日2回投与の承認は、EoE患者(それぞれ11~56歳および11~42歳)を対象にした2つの多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対照12週試験(試験1と試験2)の有効性および安全性データに基づくもの。
 両試験とも、患者にEOHILIA 2 mgまたはプラセボの1日2回経口投与を少なくとも1回行った。有効性評価項目は、12週後の組織学的寛解(評価可能なすべての食道部位において強拡大視野あたりのピーク好酸球数が6個以下)および患者の報告による嚥下障害症状質問票(DSQ)の総スコアのベースラインからの変化量とした。
 DSQによりEoE患者によって直接報告された嚥下障害の頻度とその後に使用する行動適応を評価した。
 試験1では、EOHILIA群はプラセボ群と比較して有意に多くの患者が組織学的寛解を達成した (53.1% vs. 1%)。
 試験2では、EOHILIA群の38%が組織学的寛解を達成したのに対し、プラセボ群では2.4%でした。ベースラインからのDSQ総スコアの変化量は、試験1ではEOHILIA群 vs. プラセボ群で-10.2(1.5)vs. -6.5(1.8)、試験2では-14.5(1.8)vs. -5.9(2.1)であった。
 各試験の最後の2週間において、EOHILIA群ではプラセボ群と比較してDSQによる評価で嚥下障害を経験しなかったか、「良くなった/自然に治った」嚥下障害しか経験しなかった患者が多くみられた。
 EoEの治療において、EOHILIAの12週間を超える投与の安全性および有効性は確認されていない。
 試験1で最も多くみられた副作用(EOHILIA群の患者の2%以上で発現し、プラセボ群よりも発現率が高かった副作用)は、気道感染(13%)、消化管粘膜カンジダ症(8%)、頭痛(5%)、胃腸炎(3%)、咽喉刺激感(3%)、副腎抑制(2%)、びらん性食道炎(2%)などであった。
 試験2におけるEOHILIAの安全性プロファイルは、試験1と概ね同程度であった。
 EoEは、食道に局在する免疫が関連する慢性の炎症性疾患である。好酸球性食道炎の正確な原因は明らかにはなっていないものの、特定の食物や環境アレルゲンを含む様々な刺激によって引き起こされると考えられている。
 好酸球性食道炎の慢性炎症は、個人差や年齢によって異なるが、嚥下障害や嘔吐、疼痛など様々な症状につながる場合がある。EoEの特定は複雑になることがあり、診断の遅延もよくみられる。
 未治療のまま経過した場合、好酸球性食道炎の炎症が悪化し、食道が狭窄して食物の嵌頓(食物が食道で詰まった場合)を引き起こす可能性がある。実際に、EoEは食物の嵌頓による救急外来受診の主な原因である。
 なお、同承認による2024年3月期(2023年度)の業績影響については、現在、無形資産の減損損失の戻入れを含めて精査しているが、重要性ある影響は見込んでいない。 

◆Ikuo Hiranoノースウエスタン大学フェインバーグ医学部消化器・肝臓内科のケネス・C・グリフィン食道疾患センターの内科教授・ディレクター(MD)のコメント
 これまで、EoEに対してさまざまなコルチコステロイド製剤が使用されてきたが、いずれも適応外で、複数の投与選択肢を用いて行われていた。
 EOHILIAにより、一貫した用量を食道粘膜に届けるために特別に製剤化され、食道の炎症やEoEの嚥下障害の症状に有効であることが実証されたFDA承認の治療薬が得られたのは大変喜ばしい。
 EoEの患者の治療ニーズや目標は多様であり、EOHILIAが経口薬としてもたらす柔軟性を歓迎する。

◆Brandon Monk武田薬品シニアヴァイスプレジデント、米国消化器系疾患ビジネスユニットのヘッドのコメント
 大多数の人にとって、食べることは単純な経験である。だが、好酸球性食道炎の患者さんにとって、座っての食事摂取はつらいことであり、嚥下障害、胸痛、つかえ感などを伴う場合がある。
 今回のFDAによるEOHILIAの承認により、2つの12週の臨床試験において食道の炎症を低減し、嚥下能力を改善することが示されたEoEに対する初めてかつ唯一の経口治療選択肢を、患者さんとその担当医は手にすることができる。

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