ファンペップは8日、抗IGFBP7抗体誘導ペプチドを用いた心不全ワクチン開発を推進すると発表した。抗体誘導ペプチドの新規研究テーマとして、心不全(標的:IGFBP7)を対象とする研究を開始したもの。
同研究テーマは、東京大学大学院医学系研究科先端循環器医科学講座小室一成特任教授が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から採択された令和5年度ゲノム研究を創薬等出口に繋げる研究開発プログラムの研究開発課題「心不全シングルセルゲノミクス創薬」として実施される。
日本人の死因は、がん(悪性新生物)に次いで心疾患が第2位(約15%)と高く、心不全はそのうちの42%を占めてい。さらに、心不全の患者数は、高齢化の進展に伴い増加傾向にあり、日本では2030年に約130万人に達すると推計されている。
循環器疾患の診療に対しては、新しい診断技術、内科的及び外科的治療法が次々と開発され、診療及び治療法が進化してきた。だが、同じ疾患であっても治療効果の差や臨床経過に多様性があり、患者の病態を分子レベルで理解し、その特徴に基づく最適な治療法の提供が期待されている。
こうした背景の下、東京大学小室一成特任教授らは、循環器疾患のゲノム解析研究を進め、病態解明及び創薬研究について重要な成果を見出してきた。
同研究開発において、ファンペップは、独自のワクチン(抗体誘導ペプチド)技術を用いた医薬品開発の知見にもとづき、心不全ワクチンの研究テーマに研究開発分担者として参加する。
具体的には、心不全患者の組織微小環境(細胞間相互作用)に着目し、心不全患者の心臓内皮細胞で分泌されて心筋細胞の代謝環境に作用する分子 IGFBP7(Insulin Like Growth Factor Binding Protein 7)を標的とする心不全ワクチンについて、非臨床試験及び臨床試験に向けた応用展開を担当する。
近年、 Senescence-Associated Secretory Phenotype(SASP、細胞老化関連分泌現象)と呼ばれる現象が見いだされ、個体老化や老年病と細胞老化の研究にて、SASP因子であるIGFBP7は、細胞老化を促進する効果があると報告されており、抗老化としての創薬ターゲット分子としても注目されている。
なお、同件によるファンペップグループの2024年12月期業績への影響は軽微である。