マンジャロの限定出荷早期解消に向けて尽力  辻村明広三菱ケミカルグループ執行役

辻村氏

 辻村明広三菱ケミカルグループ執行役エグゼクティブバイスプレジデントファーマ所管(田辺三菱製薬代表取締役)は6日、三菱ケミカルグループ2024年3月期第3四半期決算説明会で、昨年6月12日に発売した持続性GIP/GLP-1受容体作動薬(2型糖尿病治療薬)「マンジャロ」について言及。
 「現在、限定出荷しているがなるべく早い時期に解消できるようにイーライリリーと鋭意検討している。今のところ、何時解消できるかはっきり申し上げられないが、できるだけ早く出荷解除を実施したい」と重ねて強調した。
 国内医療用医薬品販売におけるマンジャロの貢献度についても、「昨年の発売以来、限定出荷ではあるものの着実に成長している。売上面、利益面においてすでに寄与している」と述べた。
 田辺三菱製薬の米国戦略では、「現在、ラジカヴァ経口剤(ALS治療薬)が非常に好調で、これに新しい製品を上乗せする形で拡大していく」考えを示した。
 さらに、「そのためには、今あるパイプライン(パーキンソン病治療薬ND0612脊髄損傷MT-3921など)を確実に開発していくことが重要で、これに加えて様々な事業開発の機会を探索している」と語った。
 2024年3月期第3四半期の医薬品事業(田辺三菱製薬)の業績は、売上収益3380億円(前年同期比6.7%増)、コア営業利益558億円(同179.0%増)、営業利益669億円(同999億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益516億円(同527億円増)。
 国内医療用医薬品の薬価改定、レクサプロの終売に伴う減益、新製品の上市に伴う販売費の増加等の影響があったものの北米でのALS治療薬ラジカヴァ経口剤の販売伸長、国内医療用医薬品の重点品・新製品の販売堅調、メディカゴ社の事業撤退による研究開発費の減少及びコスト構造改革の進捗がこれをカバーした。

ギルソン氏

 また、本年3月末に退任するジョンマーク・ギルソン三菱ケミカルグループ社長は、あいさつの中で「この第3四半期は、コア営業利益1839億円、キャッシュフロー1657億円を計上、コスト削減820億円を実現し、2021年に打ち出した‟Forging the future”の戦略の影響が現れた。これは今までにない構造改革を規律を持って意識し行ってきたからである」と強調した。
 ヘルスケアセグメントについても「引き続き素晴らしい成果が出ている。その背景には、様々なコスト削減、価格設定、成長機会を捉えた営業の実施があり、売上高、営業利益の成長を日米両国で成し遂げる結果となった」と高評価した。
 最後に、重ねて「この3年間継続的に構造改革を行ってきたからこそこの第3四半期に650億円のコア営業利益が計上できた」と訴求し、「私は3月末で三菱ケミカルグループを離れるが、達成感を持って去る。この会社は、将来に向けてしっかりと成長する位置づけにある。築本新社長にご幸運申し上げたい」とエールを送った。
 

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