武田薬品は25日、国内で製造する製品の二次包装(組箱)の印刷における環境負荷低減を目的として、使用インクを、特色インクからCMYKインクに切り替えていくと発表した。
インクの切り替えは、同社がグローバルで進めるアートワーク管理による環境負荷低減を目指した取り組みにおける第一段階となる。
具体的には、武田薬品初となる皮下注用人免疫グロブリン製剤として日本で2023年9月に製造販売承認を取得し、最近発売したキュービトルについて、製薬企業として国内でいち早く、組箱全体の印刷にCMYKインクを採用した。
これにより、サプライヤーの印刷工程におけるインクの使用量および廃棄量、さらに印刷機の洗浄に使用する溶剤の使用量および廃棄量の削減につながる。
同社においても、この取り組みにより将来的なコスト削減につながるものと期待している。
日本の医療用医薬品業界で製品の二次包装のスタンダードとなっている特色インクによる印刷においては、一色ごとに予め複数のインクを調合し特色インクを作成して印刷を行う。また、印刷する製品を変更する際には、特色インクの色替えが必要であるため 印刷機の洗浄が行われている。
CMYKによる印刷では、シアン(青)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、キー・プレート(黒)の4色の組み合わせによって多様な色を表現していくため、特色インクによる印刷に比べ使用するインクの種類・量を低減することが可能である。
また、CMYKによる印刷工程では、製品を切り替える際の印刷機洗浄が不要になる。さらに、武田薬品はグローバル全体で、環境負荷低減に関するデータを収集し、印刷工程の詳細なライフサイクルアセスメントに取り組んでいく。
今後は、2026年までに新製品・既存品を問わず、国内で製造する当社製品の全ての二次包装をCMYKインクに切り替える予定である。将来的には、デジタル印刷の採用も見据えて検討を進めていく。デジタル印刷においては刷版が不要となるため、刷版製作時の水や溶剤の削減、さらには刷版そのものの廃棄が無くなることによる環境負荷低減が期待できる。
◆グレッグ・ティモンズ武田薬品グローバル マニュファクチャリング & サプライ ジャパンヘッドのコメント
当社は、企業理念の一つとして、地球環境の負荷を低減しながら、患者さんに高品質な医薬品を安定的にお届けし続けることを約束しており、この取り組みはその約束を果たすための一環である。
我々は、これからも、医療用医薬品業界における環境サステナビリティへの取り組みを積極的にリードしていく。
◆同取り組みを主導した野々村浩二武田薬品ジャパン リージョナル ローンチエクセレンス&プロダクトライフサイクル マネジメントのリージョンジャパンアートワークコーディネーションヘッドのコメント
今後は、スケールメリットによって環境への影響をさらに低減するために、状況の進展や成果を他の製薬企業と共有し、本取り組みへの参加を積極的に呼び掛けていく。