ノーベルファーマは19日、希少疾病を対象としたmTOR阻害剤の早期上市を表明した。2003年に創業以来同社は、現在まで20年間、新医薬品16件、適応追加6件、新医療機器1品目という多くの認可を取得。15件の希少疾病用医薬品・医療機器指定、2件の先駆け審査指定を受けている。
同社は、「必要なのに顧みられない医薬品・医療機器の提供を通して、社会に貢献する」を、創業時からの変わらない会社使命としている。
医療上のニーズが満たされず、患者や医師から強く望まれている「アンメットニーズ医薬品」の中でも、生活習慣病やアレルギー疾患などの患者が多く、市場規模の大きな疾病・疾患の治療薬については、既存の製薬会社が次々に新薬を開発している。
その一方で、患者が少ない疾病・疾患については、多くの収益を見込めないことから開発が躊躇される傾向にある。
こうした中、ノーベルファーマは、たとえ市場規模が小さくとも、他社が手がけないこうした医薬品・医療機器を、患者の強いニーズがある限り、速やかに世に送り出し、それを待ち望む患者に届けることを目指している。
同社はmTOR阻害剤の研究開発に積極的に取り組み、様々な希少疾病の治療薬として患者に届けてきた。mTOR阻害剤の有用性が期待される稀少疾患の一つに「脈管腫瘍・脈管奇形」がある。
「脈管」は、「血管」と「リンパ管」を総合した名称で、「脈管腫瘍」は、主に血管に腫瘍細胞が増殖する血管腫のことを指し、腫瘍細胞が増殖・退縮するため、短期間の間に大きくなったり、小さくなったりする傾向がある。
反対に「脈管奇形」は腫瘍と違い大きさはあまり変わらないが、消えることはない。長期的には成長とともに増大するとされており、思春期や妊娠、感染、外傷などをきっかけに悪化する場合もある。
脈管腫瘍・脈管奇形は、発生する場所や大きさ、症状によっては治療が長期にわたる場合があり、治りにくい状態は“難治性”と呼ばれている。各疾患の症状は様々であるが、痛みが続いたり、出血傾向や病変の場所によっては呼吸がしづらいなど生活面・整容面で困っているケースもある。
脈管腫瘍・脈管奇形の治療には、手術、レーザー治療、血管内治療などがある。薬物治療では、症状に対しては、痛み止め、止血剤が使われてきた。疾患そのものに対しては、ステロイド・抗がん剤などが使用されていたが、最近では、様々な分子標的薬が注目されている。
日本では、難治性の脈管腫瘍及び脈管奇形の患者は約6000人~8000人(同剤の承認効能ではない動静脈奇形、スタージ・ウェーバー症候群などを含む)と推定されている。
ノーベルファーマは、「mTOR阻害剤の研究開発をさらに進め、早い時期の上市を目指し、希少疾病の治療薬を待ち望んでいる患者に1日でも早く届けていきたい」とコメントしている。
なお、ノーベルファーマのコーポレートサイトには、リンパ管疾患についてのサイトを開設している。