脊髄性筋萎縮症治療薬エブリスディ 未発症の適応拡大と後2カ月未満への用法用量追加承認申請 中外製薬

 中外製薬は15日について、脊髄性筋萎縮症治療薬エブリスディ、未発症に対する適応拡大、および生後2カ月未満に対する用法用量追加の承認申請を厚労省行ったと発表した。
 なお、同剤は「脊髄性筋委縮症」に対して、2019年3月に厚労省より希少疾病用医薬品の指定を受けており、今回の適応拡大申請についても優先審査の対象となる。
 今回の承認申請は未発症のSMA乳児を対象とした海外P2床試験(RAINBOWFISH試験、日本を含まない)の成績に基づくもの。
 一般的に、SMN2遺伝子のコピー数は少ないほど重症となり1、RAINBOWFISH試験には、SMN2遺伝子のコピー数が2以上の乳児が組み入れられた。
 RAINBOWFISH試験は主要評価項目を達成し、主要有効性解析対象集団(n=5)の80%が、1年間のエブリスディによる治療後に、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development – Third Edition)の評価により、支えなしで5秒以上座位を保持可能であった。
 主要有効性解析対象集団は、ベースライン時にSMN2遺伝子のコピー数が2で複合筋活動電位(compound muscle action potential:CMAP)の振幅が1.5 mV以上の乳児とした。CMAPの振幅は外部刺激に対する筋肉の反応を測定するもので、振幅が小さいほどSMAの発症および運動機能低下がみられる。
 主要有効性解析対象集団に含まれる乳児は、無治療の場合I型SMAの自然経過と同様に進行すると予想されるが、無治療のI型SMAの方々は座位を保持できない。
 また、同試験に登録された26名の乳児のうち、試験開始時にCMAP振幅が低値(1.5 mV未満)であったすべての乳児を含む81%の乳児が支えなしで30秒間座位を保持でき、多くは立位の維持や歩行が可能であった。
 有害事象は、SMAに関連する事象よりも乳児特有の事象が多くみられた。ほとんどの有害事象はエブリスディと関連なしと判断され、死亡、休薬または投与中止に至った有害事象は認められなかった。
 主な有害事象は、生歯、COVID-19、発熱、胃腸炎、湿疹および便秘でした。RAINBOWFISH試験の主要解析で認められた有害事象は、SMAを対象とした他のエブリスディの試験で認められた有害事象と概ね同様であった。
 SMAは、発症前に運動ニューロンの脱落が始まるとされている。早期診断において重要な役割を果たしている新生児スクリーニングを経て、より早い段階に治療を開始することでさらに高い治療効果を得られる可能性がある。
 エブリスディが診断後すぐに治療が開始可能になることで、高いメディカルバリューの提供が期待される。 

◆奥田修代表取締役社長 CEOのコメント
 SMAは症状が現れる前に治療を開始することで治療効果を最大化できる可能性があり、未発症SMAへの適応拡大申請には大きな意義がある。また、年齢問わず生後間もない乳児から本剤をお使いいただけるようになることで、診断後速やかに治療を開始できる可能性がある。
 SMAに対して承認されている唯一の経口薬であるエブリスディが医療現場で役立てるよう承認取得に向けて引き続き尽力していく。

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