オムロンヘルスケアは16日、20代~70代の5000人を対象に新型コロナ感染症と対策に関する意識調査結果を公表した。同調査は、コロナの5類移行前後における人びとの意識の変化および予防対策や備えに関する状況に関して質問したもの。
調査結果では、コロナ流行以前からコロナ禍にかけて高まった感染症への不安が、5類移行後には低下したものの未だ半数(50.0%)の人が不安を感じていることがわかった。
また、5類移行前後での感染対策と備えに関する意識では、3人に1人(34.9%)が「感染対策の意識が低くなった」と回答した一方で、4人に1人(24.8%)が「感染症への備えの意識は高くなっている」と回答。対策意識は低下しても備えに対する意識は高まっていることが浮き彫りになった。
2023年5月8日に新型コロナ感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症になった。5類感染症への移行後はじめてのインフルエンザの感染ピークを迎える。
季節性のインフルエンザは年ごとに状況は異なるが、例年11月から12月頃に流行が始まり、1月から3月にピークを迎えると言われている。こうした中、オムロンヘルスケアでは、コロナの5類移行前後における人びとの意識の変化および予防対策や備えに関する状況に関して調査を実施した。
調査結果のまとめおよび調査結果の詳細、千住秀明びわこリハビリテーション専門職大学リハビリテーション学部理学療法学科教授のコメントは次の通り。
【調査結果のまとめ】
1、 4人に1人がコロナの罹患経験がある。そのうちの約20%に後遺症があり、今も後遺症が残っている人は罹患経験者のおよそ4%
2、 コロナの自覚症状の上位3つは「発熱」「喉の痛み」「倦怠感」
3、 感染症への不安は、流行前の38.9%がコロナ禍では71.4%まで上昇。5類移行後も半数(50.5%)の人が今も「不安」と回答
4、 コロナ5類移行後の感染症対策への意識は、34.9%が「低下した」と回答。「変わらない」と回答した人は49.4%。意識が低下したことの上位3つは「黙食」「感染症関連の情報収集」「テーブルやドアノブなどの消毒」
5、 コロナ5類移行前後での感染症への備えの意識は、24.8%が「高くなっている」と回答。「変わらない」と答えた人は63.8%。コロナ禍で増えた備えの上位3つは「感染検査キット411.2%」「パルスオキシメータ254.6%」「マスク148.3%」であった。
【調査結果の詳細】
1、 4人に1人がコロナの罹患経験がある。そのうちの約20%に後遺症があり、今も後遺症が残っている人は罹患経験者のおよそ4%
本人のコロナ罹患経験を質問したところ「感染あり」と回答した人が27.2%、「ない」と回答した人は70.3%であった。「感染あり」と回答した人のうちの20.2%に後遺症があり、「今でも後遺症が残っている」と回答した人は罹患経験ありと回答した人のうち4.1%(後遺症があると回答した人のうち20.4%)であった。
2、 コロナの自覚症状の上位3つは「発熱」「喉の痛み」「倦怠感」
コロナ罹患経験者に自覚症状を聞いたところ「40℃以下の発熱(66.6%)」「喉の痛み(54.6%)」「倦怠感(50.5%)」「せき(49.7%)」「鼻水・鼻詰まり(34.4%)」が上位を占めた。
3、 感染症への不安は、流行前の38.9%がコロナ禍では71.4%まで上昇。5類移行後も半数(50.5%)の人が今も「不安」と回答
コロナ禍(2019年12月)以前とコロナ5類移行前(2020年1月から2023年5月)、現在における感染症全般への不安を聞いた。その結果、「不安」と回答した人はコロナ禍以前では38.9%であったが、コロナ禍では71.4%まで上昇、5類移行の現在でも50.0%いることがわかった。また、不安の内容は「再びパンデミックがおこること(35.4%)」「日常生活の中で感染するリスクがあること(34.7%)」、次いで「蔓延時に医療機関が逼迫すること(28.6%)」と続いた。
4、コロナ5類移行後の感染症対策への意識は、34.9%が「低下した」と回答。「変わらない」と回答した人は49.4%。意識が低下したことの上位3つは「黙食」「感染症関連の情報収集」「テーブルやドアノブなどの消毒」
コロナ5類移行前(2020年1月から2023年5月)と現在の感染症対策に関する意識の変化を確認しました。その結果、3人に1人(34.9%)が「意識が低下した」と回答。約半数の49.4%が「変わらない」と回答しました。また、最も意識が低下したことは「黙食(32.3%)」に次いで「感染症関連の情報収集(42.5%)」「テーブルやドアノブの消毒(46.6%)」であった。一方で、「食品やサプリの摂取(106.6%)」「手洗いの習慣(100.5%)」「加湿器の使用(94.5%)」「うがいの習慣(92.4%)」など5類移行後でもほぼ変わらないという結果となった。
5、コロナ5類移行前後での感染症への備えの意識は、24.8%が「高くなっている」と回答。「変わらない」と答えた人は63.8%。コロナ禍で増えた備えの上位3つは「感染検査キット」「パルスオキシメータ」「マスク」であった。
コロナ5類移行前と現在の感染症への備えの意識変化を確認したところ、24.8%の人が「高くなっている」と回答、「低くなっている(11.4%)」と回答した人を大きく上回った。また、コロナ禍以前からコロナ禍にかけて備えたもので増加率が高かったものは「感染症検査キット(411.2%)」「パルスオキシメータ(254.6%)」「マスク(148.3%)」であった。さらに、コロナ5類移行後でも高くなった備えは「吸入器(117.7%)」「常備薬(漢方薬)(112.1%)」「冷却まくら(104.1%)」であった。その他、コロナ禍にかけて高まった備えが5類移行後でも大部分で維持されていることがわかった。
◆千住秀明びわこリハビリテーション専門職大学 リハビリテーション学部 理学療法学科教授のコメント
新型コロナウイルスの感染拡大では多くの人が罹患し、医療機関を含め社会全体がたいへんな思いを経験した。今でも後遺症に苦しんでいる方も多く存在する。また、基礎疾患をお持ちの人は感染症が重症化するリスクが高いと言われていることもあり、引き続き日常生活での感染症罹患リスクがある中で、現在もたくさんの人が不安を感じていることがわかった。コロナの流行によりさまざまな生活様式が変化した。コロナが5類感染症に移行されたことで、黙食や密接を避ける、身の回りのものの消毒などが減った一方で、手洗やうがいの習慣など現在でも感染症予防として定着している対策もあることは良いことだと感じる。
さらに、パルスオキシメータや経口補水液、吸入器などコロナ禍で高まった感染症への備えが引き続き維持されていることは素晴らしいことである。今冬はインフルエンザの流行が既に始まっているが、例年ではこれからの時期にピークを迎えることもあり、今年はさらにインフルエンザの流行が拡大するという懸念もある。これからの寒さが本格化するシーズンを安全に過ごすために、日頃の体調管理や状態のチェックを行い、気になる症状がある場合には早めにかかりつけ医などに相談するなどをされてみてはいかがだろうか。