‟真のグローバルファーマ”になるための人事異動 小野薬品相良社長

左から相良氏、滝野氏

 小野薬品は11日、大阪市内の本社で同日発表した社長交代に関する会見を開き、相良暁社長が、「真のグローバルファーマになるための人事異動である」と強調した。
 本年4月1日付で代表取締役社長COOに昇格する滝野十一氏(取締役専務執行役員研究本部長)は、2026年から2031年までの間に各国で徐々に切れていくオプジーボの特許切れを見据えて、「欧米での医薬品自社開発・販売に向けたグローバル展開を進めて行く」と断言。
 その上で、「M&Aも含めたグローバル展開の新薬候補を生み出す事業開発を強化して、真のグローバルファーマを目指したい」と抱負を述べた。
 小野薬品は、2017年度に2031年度をゴールとする長期ビジョンを策定し、「年間2000億円の研究開発費の捻出」を目指している。第2期中期経営計画(2022年度~2026年度)の3年目となる2024年度は、ちょうどその折り返し地点となる。

相良氏

 2024年3月期業績予想は、売上収益5000億円、営業利益1670億円、研究開発費1000億円強で、「折り返し地点に見合った実績を上げる見込みにある」(相良氏)
 一方、今後迎えるオプジーボを始めとする主力品の特許切れを克服してさらなる成長を遂げるには、「国内マーケットに加えて欧米で自社開発して承認を取得し、自社販売する」ことが不可欠となる。
 2026年には、米国で第一号となる「ベレキシブル」(中枢神経系原発リンパ腫治療薬)の上市を予定しているが、「壁に当たったり試行錯誤しながら慣れない初めての仕事に取り組んでいる」と明かす相良氏。
 さらに、「この海外戦略のさらなる強化には、マネージメント体制を刷新する必要がある。そこで、長年海外畑で仕事をしてきたキャリアを持つ滝野氏に社長として手腕を振るってもらうことになった。‟真のグローバルファーマ”になるための人事異動である」と社長交代の狙いを説明した。
 相良氏は、今回、代表取締役を3名体制としたことにも言及し、「会社のオペレーション運営を滝野新社長が、私自身は会社に係る大きな意思決定に加わり、業界活動、渉外的活動も行う。辻中聡浩代表取締役副社長には、国内の経営基盤をしっかりと支える役割を担って頂く」と述べ、今後の役割分担を明らかにした。

滝野氏


 滝野氏は、「相良社長の想いを引き継ぎ、300年以上歴史のある小野薬品を率いていく役目を頂き、身の引き締まる思いである」とコメントした。
 さらに、「私の強みは、研究開発をバックグランドに20年以上、化合物をベースとした事業開発ライセンスの構築、アジアでの海外展開の立ち上げ、英国、米国に三度駐在し、現場に出向いてバイオベンチャーとも仕事をしてきた。最近5年間は、オープンイノベーションで自社の創薬力を高めてきたことにある」と指摘。
 その上で、「私の強みを活かして今進行中の中期計画を達成したい。次の第3期中期計画では、欧米でのグローバル展開の材料となる新薬候補を生み出す事業開発を強化して‟真のグローバルファーマ”を目指したい」と言い切った。
 滝野氏は、また、「基礎研究から創薬する方法は、本当に時間がかかる。ポストオプジーボでは、外部から化合物ベースでアセットを取り込むことが一番有効な手段であると考えている」と述べ、「化合物のみの導入か会社ごとのM&Aになるかは判らないが、事業開発ライセンスの重要性を非常に感じている」と訴求した。
 相良氏は、「私が社長になった2008年当時は、売上高の長期収載品比率が90%近くあった。そこで、ライセンス責任者を務めていた滝野氏と二人三脚で欧米を駆け回り、オレンシア(関節リウマチ薬)、イメンドカプセル(嘔吐薬)フォシーガなどをライセンスインした。その間、オプジーボの成功があった」と振り返り、「これからは、海外の自社開発・販売という厳しい時代を迎える。滝野新社長には、2008年、2009年当時を思い出して頑張ってほしい」と期待を寄せた。
   

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