抗体誘導ペプチド「FPP003」 尋常性乾癬を対象としたP1/2試験で好結果 ファンペップ

 ファンペップは22日、 抗体誘導ペプチド「FPP003」の尋常性乾癬を対象疾患とするオーストラリアでのP1/2試験の解析データを含む結果を公表。主要評価項目である安全性及び忍容性が確認され、副次評価項目の抗 IL-17A抗体の抗体価上昇がみられたことを明らかにした。FPP003は、住友ファーマとの共同研究により創生した開発化合物。
 同試験は、FPP003 の FIH 試験(First in Human 試験、ヒトに対して初めて投与する試験)として実施されたP1/2相試験(用量漸増試験(4コホート・投与量 0.5~15 ㎎))で、尋常性乾癬患者36名を対象に、FPP003又はプラセボを二重盲検下で3回皮下投与(第1日、第15日及び第29日)した。
 プラセボを含むコホートの構成は、プラセボ 10 例、0.5 ㎎群4例、1.5 ㎎群4例、5mg群9例、15 ㎎群9例。
 主要評価項目は、安全性及び忍容性で、FPP003の副作用は、ワクチンで頻繁にみられる局所反応以外に特に臨床的に問題となるものは、みられなかった。
 副次評価項目である抗 IL-17A 抗体価については、FPP003の3回目投与後4週間時点(第 60 日)において、高用量コホート(15 ㎎群)の78%(9例中7例)において、抗 IL-17A 抗体(標的タンパク質 IL-17A エピトープに対する抗体)に対する抗体価上昇が確認された。
 抗体価上昇は、陽性の全症例(7例)において観察期間終了時点(第120日)まで持続した。
 一方、プラセボ投与では抗IL-17A抗体の抗体価上昇がみられなかった(10 例中0例)。
 なお、感染症ワクチン(インフルエンザ、SARS-CoV2)の陽転判定基準を参考に、ベースラインと比較して4倍以上に抗体価が上昇した症例を「陽性」と定義された。
 探索的評価項目(有効性)では、尋常性乾癬の重症度評価指標であるPASI(Psoriasis Area and Severity Index)において、FPP003投与群(15mg 群、9例)は、治験薬の3回目投与後4週間時点(第60日)以降、ベースライン(治験薬投与前)及びプラセボ投与(10 例)と比較して、低下傾向が認められた。
 また、皮膚疾患のQOL 評価指標 DLQI(Dermatology Life Quality Index)(観察時点第 120 日)においても FPP003投与群は、全投与群においてベースライン及びプラセボ投与(10例)と比較して、改善傾向が認められた。
 同試験はFPP003のFIH 試験であり、ファンペップは、「主要評価項目の安全性及び忍容性が確認され、副次評価項目の抗 IL-17A 抗体の抗体価上昇がみられたことの意義は大きい」としている。
 一方、同試験では、探索的評価項目についての有効性を明確に判断することができなかった。これは、同試験の対象数が少なく、有効性を評価するための検出力が足りなかったものと考察しており、他の臨床試験結果も踏まえて引き続き評価する方針を示している
 なお、同件による2023 年12月期業績への影響はない。

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