エムスリーと日本ベーリンガーインゲルハイムは30日、線維化を伴う間質性肺疾患検出支援プログラムBMAX)について、製造販売承認を取得したと発表した。
同製品は、2020年12月に発表された業務提携に基づいて両者が共同開発を進めてきたもので、2022年9月にエムスリーグループによる薬事申請を行い、2023年11月よりエムスリーAIプラットフォームでの提供を開始する。
間質性肺疾患は、肺胞の壁の部分である「間質」で炎症などが生じる疾患の総称で、2022年の日本人における死因の11位で、呼吸器疾患では肺炎・がんに次いで年間死亡者数が多いとの報告がある。 間質性肺疾患は、進行すると間質が厚く硬くなり(線維化)、うまくガス交換ができなくなることで、呼吸しづらい状態になる。
また、一度線維化した部分が元の状態に戻るのは難しいことがわかっている。肺の線維化を伴う間質性肺疾患は多岐に渡るが、予後不良とされるものは肺がんや心不全などを合併するリスクが高く、急激に症状が悪化する場合もあるため、進行すると生命を脅かすおそれがある。
進行を抑えるためには、早期発見・診断・治療が重要とされている。同製品は、胸部単純X線画像を解析することで、線維化を伴う間質性肺疾患(線維化ILD)にみられる所見を検出し、その確信度スコアを提示するプログラムである。国内医療機関の4000枚以上の検査画像データを学習データとして用い、ディープラーニングを活用して開発された。
臨床試験では、軽微な線維化ILD所見を有する胸部X線画像を本ソフトウェアを用いて読影すると、非専門医が単独で読影した場合と比べて線維化ILDの検出感度が向上することが示された。同製品の使用により、軽微な線維化ILDの早期発見に繋がることが期待される。