イミフィンジと化学療法、リムパーザの併用療法 P3試験で子宮体がんの病勢進行・死亡リスク低減 アストラゼネカ

 アストラゼネカは1日、イミフィジンと化学療法とおよびリムパーザの併用療法について、進行または再発子宮体がんを対象としたP3試験(DUO-E試験)において、病勢進行または死亡リスクを 45%低減させたと発表した。
 イミフィンジと白金製剤を含む化学療法との併用療法後、維持療法としてイミフィンジの単剤療法またはイミフィンジとリムパーザの併用療法について、新たに診断された進行子宮体がんまたは再発子宮体がんを対象としたDUO-E試験において、いずれの治療群も化学療法単独と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無増悪生存期間(PFS)の延長が示された。
 今回のDUO-E試験結果は、スペイン・マドリッドにて開催された2023年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会およびJournal of Clinical Oncology で同時発表された。
 試験対象集団全体における結果から、化学療法単独(対照群)と比較して、イミフィンジと化学療法の併用療法後、維持療法としてイミフィンジとリムパーザの併用療法を行った群(イミフィンジ・リムパーザ併用群)では病勢進行または死亡のリスクが 45%低減(ハザード比[HR]0.55;95%信頼区間[CI]0.43 – 0.69;p<0.0001)し、イミフィンジと化学療法の併用療法後、維持療法としてイミフィンジ単剤療法をおこなった群(イミフィンジ併用群)では病勢進行または死亡のリスクが 29%低減(HR 0.71;95% CI 0.57 – 0.89;p=0.003)したことが示された。
 なお、PFSの中央値は、対照群が 9.6 カ月であったのに対して、イミフィンジ・リムパーザ併用群は 15.1 カ月であった。ミスマッチ修復(MMR)の状態は子宮体がんのバイオマーカーであるため、DUO-E 試験ではMMRの状態別の事前に指定された探索的サブグループ解析を実施した。
 MMR欠損がない(pMMR)患者グループの解析結果では、対照群と比較して、病勢進行または死亡のリスクがイミフィンジ・リムパーザ併用群では43%低減(HR 0.57;95% CI 0.44 – 0.73)、イミフィンジ併用群では 23%低減(HR 0.77;95% CI 0.60 – 0.97)と、いずれの群においてもリスクの低減が示された。PFSの中央値は、対照群が 9.7 カ月であったのに対し、イミフィンジ・リムパーザ併用群では 15.0 カ月であった。
 MMR欠損がある(dMMR)患者グループの解析結果でも対照群と比較して、イミフィンジ・リムパーザ併用群では 59%(HR 0.41;95% CI 0.21 – 0.75)、イミフィンジ併用群では 58%(HR 0.42;95% CI 0.22 – 0.80)と、いずれの群においても病勢進行または死亡のリスクの低減が示された。
 試験対象集団全体の全生存期間(OS)における中間解析の結果、いずれの治療群においても対照群と比較してOSの延長傾向が見られた。
 PD-L1は、イミフィンジが有するその他の適応症において本剤のバイオマーカーであることが明らかになっている。同試験における PD-L1の状態に基づく事前に規定された解析では、PD-L1 陽性集団の病勢進行または死亡のリスクが、対照群と比較して、イミフィンジ・リムパーザ併用群では 58%低減(HR 0.42;95% CI 0.31 – 0.57)、イミフィンジ併用群では37%低減(HR 0.63;95% CI 0.48 – 0.83)した。
 PFSの中央値は、イミフィンジ・リムパーザ併用群が 20.8 カ月、対照群が 9.5 カ月であった。PD-L1 陰性集団の病勢進行または死亡のリスクは、対照群と比較して、イミフィンジ・リムパーザ併用群では 20%低減し(HR 0.80;95% CI 0.55 – 1.16)、イミフィンジ併用群では11%低減した(HR 0.89;CI 0.59 – 1.34)。
 2つの治療群(イミフィンジ・リムパーザ併用群およびイミフィンジ併用群)の安全性および忍容性プロファイルは、過去の臨床試験、および各薬剤の既知の安全性プロファイルと概ね一貫していた。
 全試験期間中にイミフィンジ・リムパーザ併用群で主に確認された(患者さんの20%以上に認められた)有害事象(AE)は、貧血(62%)、悪心(55%)、疲労および無力症(54%)、脱毛(51%)、好中球減少症(42%)、便秘(33%)、血小板減少症(30%)、下痢(28%)、嘔吐(26%)、末梢神経障害(25%)、末梢感覚神経障害(25%)、関節痛(24%)、食欲減退(23%)、白血球減少症(20%)、尿路感染症(20%)であった。
 全試験期間中にイミフィンジ併用群で主に確認されたAEは、脱毛(50%)、貧血(48%)、疲労および無力症(43%)、嘔気(41%)、好中球減少症(36%)、下痢(31%)、関節痛(30%)、血小板減少症(28%)、便秘(27%)、末梢神経障害(26%)、末梢感覚神経障
害(26%)、嘔吐(21%)であった。
 なお、イミフィンジ、リムパーザおよびイミフィンジとリムパーザの併用療法における子宮体がんに対する適応は、本邦未承認である。

◆DUO-E 試験の国際治験調整医師のShannon N. Westin 氏(テキサス大学 MDアンダーソンがんセンター婦人科腫瘍学および生殖医学科教授)のコメント
 今回の結果は、免疫療法とPARP阻害剤の併用が子宮体がん患者さんに有意な臨床的改善をもたらす可能性を初めて示すものである。DUO-E試験のデータは、子宮体がん患者さんの転帰を改善するための新たな選択肢を、がん専門医に提供する可能性がある。

◆SusanGalbraithアストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 特に、pMMRをはじめとする進行子宮体がん患者さんに対する治療選択肢は限られており、しかも長年変わっていない。今回のDUO-E試験のデータで、イミフィンジとリムパーザの併用維持療法またはイミフィンジ単剤維持療法を、イミフィンジと化学療法の併用療法後に追加することにより、臨床的に意義のある改善が示されたことは喜ばしい。今回のデータを各国の規制当局と協議し、これらの重要な新しい治療法を患者さんに可能な限り早くお届けしたいと思っている。

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