トラスツズマブ デルクステカン HER2発現複数固形がん対象P2試験結果公表 第一三共

 第一三共は24日、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd/DS-8201、抗HER2抗体薬物複合体[ADC])について、HER2発現の進行性固形がん患者を対象としたP2試験(DESTINY-PanTumor02)の最新データを公表した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2023)で発表されたもの。同試験結果は医学雑誌「The Journal of Clinical Oncology」にも掲載された。
 有効性について、前治療歴のある進行性のHER2発現の固形がん(胆道がん、膀胱がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、膵臓がんおよび希少がん)患者267名において、主要評価項目である客観的奏効率は37.1%であった。
 奏効期間の中央値は、11.3ヵ月、無増悪生存期間の中央値は6.9ヵ月、全生存期間の中央値は13.4ヵ月であった。
 また、HER2の高発現(IHC 3+)が認められた患者75名における客観的奏効率は61.3%、奏効期間の中央値は22.1ヵ月、無増悪生存期間の中央値は11.9ヵ月、全生存期間の中央値は21.1ヵ月であった。なお、無増悪生存期間と全生存期間に関するデータは、同学会で初めて発表された。
 安全性については、新たな懸念は認められず、同剤の他試験と同様の傾向であった。グレード3以上の有害事象として、好中球減少症(19.1%)、貧血(10.9%)、疲労(7.1%)等が認められた。間質性肺疾患(ILD)については、28名(10.5%)がILD外部判定委員会により本剤と関連のあるILDと判定された。大部分が低グレード(グレード1が7名、グレード2が17名)であり、グレード3が1名、グレード5(死亡)は3名であった。
 第一三共とアストラゼネカは、HER2を発現する多くのがん患者に対し、がん種横断的に同剤を提供できるように同結果に基づき規制当局との協議を進めていく。

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