アドセトリス、AVDの併用療法 成人のホジキンリンパ腫で欧州委員会が承認 武田薬品

 武田薬品は20日、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス」とドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(AVD)の併用療法について、欧州委員会(EC)より未治療のIII期CD30陽性ホジキンリンパ腫の承認を取得した発表した。
 アドセトリスは、ホジキンリンパ腫に発現しているCD30抗原を標的とした抗体薬物複合体(ADC)。
 欧州ではこれまでに、未治療のIV期CD30陽性ホジキンリンパ腫を含む6つの異なる適応症の成人患者に対する療法として承認されていた。
 この決定は、本年9月14日付の欧州医薬品評価委員会(CHMP)の承認を推奨する旨の肯定的見解に従ったもの。
 今回の承認は、未治療のIII期またはIV期ホジキンリンパ腫成人患者に対する療法としてアドセトリス+AVD併用療法とドキソルビシン+ブレオマイシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(ABVD)療法とを比較するために計画された、ランダム化P3試験ECHELON-1の結果に基づいている。
 同試験では、主要評価項目である修正無増悪生存期間(PFS)および重要な副次評価項目である全生存期間(OS)が達成され、未治療のIII期またはIV期古典的ホジキンリンパ腫に対してアドセトリス+AVD併用療法を受けた成人患者のOSに統計学的に有意な改善がみられた。
 アドセトリスの安全性プロファイルは過去の試験と一致しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 ECHELON-1は、未治療のIII期またはIV期古典的ホジキンリンパ腫患者1334名を対象としてアドセトリス+AVD併用療法とABVD療法とを比較する試験で、独立審査機関(IRF)が判定する修正PFSを主要評価項目としていた。
 重要な副次評価項目はOSで、同評価項目については、治療企図解析対象集団を対象とし、事前に規定され、有意水準αで制御されたイベント主導型の解析を実施している。

◆Awny Farajallah武田薬品グローバル メディカル アフェアーズ オンコロジーのヘッド(M.D.)のコメント
 アドセトリスと化学療法との併用を、未治療のIII期CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者さんに対する治療として承認するという欧州委員会の決定を大変喜ばしく思う。特に最大で3分の1のIII期およびIV期の患者さんが、現行のレジメンでは効果が得られないリスクにさらされているためだ。
 このような患者さんに治療選択肢としてアドセトリスを提供できるようになった。ECHELON-1の臨床試験データによって証明されているように、アドセトリスをフロントラインの治療レジメンに加えれば、生存転帰に有意な改善をもたらす可能性がある。

◆ECHELON-1治験責任医師のJohn Radford氏(マンチェスター大学およびChristie NHS Foundation, M.D.,FMedSci)のコメント
 ECHELON-1試験では、この20年間で初めてIII期およびIV期ホジキンリンパ腫成人患者さんの全生存転帰に統計学的に有意な改善が認められ、アドセトリスの恩恵が幅広い患者さんの集団にもたらされることが示された。
 今回の承認は、治療における非常に喜ばしい進歩です。アドセトリスによるものとして知られている確かな有効性、一貫した安全性および忍容性を、さらに多くのリンパ腫患者さんが得られるようになるだろう。

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