オプジーボ 臨床試験結果論文のPLS日本語翻訳がFuture Oncologyに掲載 小野薬品

平易な言葉での分かり易い論文要約が患者の治療選択をアシスト

小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は12日、抗PD-1抗体「オプジーボ」について、同剤の臨床試験結果論文を平易な言葉を用いて分かり易く要約したプレーン・ランゲージ・サマリー(PLS)の日本語翻訳がFuture Oncologyに掲載されたと発表した。
 Future Oncologyは、がん研究やがん治療に関する科学的知見を掲載する科学雑誌。掲載された臨床試験結果は、①CheckMate 816試験結果の要約:非小細胞肺がん患者さんを対象に手術前の治療としてニボルマブと化学療法との併用療法を検討した臨床試験、②CheckMate 649試験結果の要約:未治療で、進行性または転移性の胃・食道がん患者さんを対象に、ニボルマブと化学療法の併用療法と化学療法単独とを比較した臨床試験、③ニボルマブによる筋層浸潤性尿路上皮がんの治療(CheckMate 274試験)の3件。
 PLSは、科学者や医療従事者といった専門家だけでなく、臨床試験に参加された患者や家族など、より幅広い一般人が理解しやすいように臨床試験結果などの論文を平易な言葉で要約したもの。PLSを受け入れる国際ジャーナルの増加に伴い、近年、世界的にPLSの出版数は増加している。
 小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブは、各々P3試験結果のPLSに関して、日本人の一般の人々にも内容を理解して貰えるよう日本語翻訳の作成のサポートを開始した。
 今後、小野薬品とBMSは、Future Oncologyに掲載された3件のオプジーボに関する臨床試験結果をはじめとして、国際ジャーナルに掲載された主要なP3試験のPLSについて、日本語翻訳のサポートを行っていく。

◆CheckMate 816試験PLS 共著者の光冨徹哉近畿大学病院特任教授(Global Research Alliance Centerセンター長)のコメント
 臨床試験の結果を報告する医学的な論文は専門的で、治験に参加された患者さんなど一般の方々が理解するのは非常に難しいものだ。患者さんには、分かり易い言葉で書かれた日本語訳のPLSを読み、治療法の長短をよくご理解頂いた上で治療を積極的に選択していただけることを期待している。
 また、日本語訳のPLSは、患者さんへの説明資料として、今後、医療現場での活用も期待できる。

◆CheckMate 649試験PLS 共著者の山口研成がん研究会有明病院病院長補佐兼消化器化学療法科部長のコメント
 製薬会社が透明性をもって臨床試験の結果を分かり易い形式で公開することは、大変意義がある。使用されている図も分かり易くまとまっており、患者さんが参考するだけではなく、医療従事者も活用できる内容だと考えている。
 また、胃がん領域では「患者さんのための胃がん治療ガイドライン」が2023年3月に19年ぶりに改訂された。今後、PLSやガイドラインに対する認知・理解が向上し、患者さんが治療選択をする際の一助になることを期待している。

◆CheckMate 274 PLS 共著者の冨田善彦新潟大学大学院医歯学総合研究科 腎泌尿器病態学分野・分子腫瘍学分野教授のコメント
 自身の患っている疾患について知りたい患者さんにとって、専門用語が多く使われた英語の医学論文は、日本語を母国語とるする日本人の患者さんには読みづらいものだ。これは、日本医療におけるアンメットニーズの一つと言っても間違いでは無いと思う。
 PLSの日本語訳の作成が、今後広がれば、患者さん本位の安全で安心できる医療を提供することにつながると考えている。患者さん本人だけでなく、ご家族も大変心配、不安になることと思うが、このPLSの日本語訳が患者さんとそのご家族にとって、臨床試験結果を理解する助けとなることを期待している。

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