肺動脈性肺高血圧症成人患者治療薬sotatercept P3試験で有望な解析結果 MSD

 MSDは6日、開発中の新規アクチビンシグナル伝達阻害剤(ASI、生物学的製剤)「sotatercept」について、肺動脈性肺高血圧症(PAH、WHO Group 1)の成人患者を対象としたP3試験(STELLAR試験)の探索的事後解析により同剤が心血管系機能を改善できる可能性が示されたと発表した。
 同試験結果は、European Respiratory Society (ERS) International Congress 2023で報告したもの。STELLAR試験の登録患者から得た右心カテーテル検査および心エコー検査データの新たな探索的事後解析では、基礎療法にsotaterceptを追加して24週間投与したところ、右心サイズの縮小と右室(RV)機能および血行動態の改善が示された。
 この解析結果は口演発表と同時にEuropean Respiratory Journalに掲載された。
 また、sotaterceptの安全性および有効性の解析としてはこれまでで最長となるP3相非盲検継続投与試験(SOTERIA試験)の中間解析の結果も発表された。
 STELLAR試験の主要な有効性の結果において、基礎療法にsotaterceptを追加したところ、24週時の6分間歩行距離(6MWD)および副次評価項目の9項目中8項目について、統計学的有意で臨床的に意味のある改善が認められた。この結果はACC.23/WCCで発表されたほかThe New England Journal of Medicineにも掲載された。
 MSDは、sotaterceptの承認申請を米国FDAに提出しており、世界各国の規制当局にも承認申請する計画だ。なお、ERS 2023では、同社が支援するPAHに関する9つの試験について発表を行った。これには、sotaterceptがPAH患者の疾病状態と死亡率に及ぼす長期的な影響を予測するポピュレーションヘルスモデルの口演発表(#OA740)が含まれる。

◆エリアブ・バールMSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサー(博士)のコメント
 PAHは最終的には命に関わる進行性の希少疾患で、この疾患を管理するための新たな治療法が喫緊に求められている。最新のデータは、STELLAR試験の臨床的に意味のある有効性データに加わるものであり、sotaterceptがPAHの治療を変革しうる可能性を改めて示したと考えている。
 PAHは、心臓に負担がかかり、右心不全に至る疾患であるため、STELLAR試験の探索的事後解析で、sotaterceptによる治療で右心サイズと右室機能の改善が示されたことを特に嬉しく思う。

タイトルとURLをコピーしました