第一三共は22日、ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062、抗TROP2抗体薬物複合体[ADC])について、ホルモン受容体陽性かつHER2低発現または陰性の転移性乳がんを対象としたP3試験(TROPION-Breast01)において、主要評価項目の一つである無増悪生存期間で有意性を示したと発表した。もう一つの主要評価項目である全生存期間は、初回中間解析時点では十分なフォローアップ期間に達していなかったため、引き続き評価を継続する。
TROPION-Breast01は、HR陽性かつHER2低発現または陰性の手術不能または転移性乳がんで、化学療法の前治療歴のある患者700名以上を対象に、同剤投与群の有効性および安全性を化学療法(標準治療)投与群と比較して評価したグローバルP3試験である。
同試験の主要評価項目の一つである無増悪生存期間において、同剤投与群は、化学療法投与群に対し統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善を示した。
もう一つの主要評価項目である全生存期間については、初回中間解析時点では十分なフォローアップ期間に達していなかったため、引き続き評価が継続される。
また、安全性上の新たな懸念は認められず、同剤の他試験と同様の傾向であった。同剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)の発生率は、いずれのグレードにおいても低率であった。同試験結果の詳細は、今後、学会で公表する予定である。
第一三共とアストラゼネカは、HR陽性かつHER2低発現または陰性の乳がん患者に新たな治療の選択肢を提供できるよう、同試験結果に基づき、日本を含めたグローバル承認申請に向けた準備を進めていく。
また、同試験に加え、現在進行中のトリプルネガティブ乳がんを対象とした2つのP3試験(TROPION-Breast02、TROPION-Breast03)を通じて、乳がんにおいても同剤の開発を加速する。