大阪府薬剤師会は6日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が、国家戦略特区による調剤業務の一部外部委託事業について、「国が認めて大阪府と大阪市、薬局DX推進コンソーシアムが三者共同で推進することが決定した」と報告。
さらに、「特区制度を使って実証検証するのは違和感がある」とした上で、「反対はしていたが、やると決まった以上は、薬局DX推進コンソーシアムのミーティングに大阪府薬の役員も同席させ、安心・安全の立場から意見を申し述べるとともに、情報収集に尽力する」と訴求した。
また、国が大阪府に委託し、大阪府薬が来年2月または3月に開催を予定している薬剤レビュー研修会については、「対人業務の充実、さらに薬剤師が薬物治療を学習していく上で非常に有用な研修会となる。今後、研修会を実施して広めていきたい」と述べた。
乾氏は、特区による調剤業務の一部外部委託事業について、「そもそも特区制度は、課題があってなかなか進まない事項を改善するためのものである」との認識を強調。
その上で、「現状の調剤業務に大きな課題があるとは思っていない。国が推進している‟調剤の外部委託の研究”の暫定ガイドラインも示され、近い将来実証検証も決まっている」と指摘し、「調剤業務の一部外部委託が患者さんにとってどのようなメリットがあるのか、薬剤師の対人業務に繋がるのか疑問がある。特区でのリスクのある実証検証は好ましくない」と訴えかけた。
とはいえ、「特区での実証検証が決まったからには、調剤に対する責任の所在と医療安全のリスクを明確にして行うべきである」と要望。
そのための大阪府薬としての具体的な施策として、「府薬役員を薬局DX推進コンソーシアムのミーティングに同席させ、安心・安全の立場から意見を申し述べるとともに、情報収集に尽力していく」ことを明らかにした。
菱谷博次専務理事も、「大阪府薬としては、大阪府、大阪市、厚労省が特区での検証にどのように関わっていくのか情報収集し、状況を見極めながら意見を出していく」方向性を示した。
一方、「薬剤レビュー・ワークショップ(研修会)」は、国の事業として長野県上田市、大阪府、千葉県で実施される。
薬剤レビューは、オーストラリア薬剤師連盟が考案した手法で、「ある程度仮説を立てて薬剤に対する問題を抽出し、さらに分析をするための情報収集を行い、解決すべき薬物問題事象を特定して最終的にSOAPに沿った情報を伝達する」というもの。大阪府薬では、来年2月または3月に薬剤レビュー研修会を開催する。
8月19・20日に長野県で開かれたLILY CHONG講師(オーストラリア薬剤師連盟)と上田薬剤師会による薬剤レビューワークショップに参加した伊藤憲一郎副会長は、「薬剤レビューを活用するには、薬物治療全体像を把握しなければならない。薬物治療を学習していく上で非常に有用なワークショップであった」と感想を述べた。
堀越博一常務理事は、初めてMCS(メディカルケアステーション)を活用して開かれた「災害対策地域担当者研修会」(7月29日)について報告した。
堀越氏は、「災害時には、被災する地域と救援に回る地域が出てきて、時系列での情報共有が重要となる。9月1日の‟災害の日”に訓練しているが、スキーム通りに動くことはない」と指摘。
その上で、「大阪市内は、区ごとで対応の仕方が異なる。57地域薬剤師会でBCP(事業継続計画)の策定をして頂きたい」と要望した。