米Poseida社とがん領域細胞医療における戦略的投資等で提携 アステラス製薬

 アステラス製薬は8日、米国Poseida社と、がん領域の細胞医療における戦略的投資を含む提携に関する契約を締結したと発表した。
 同契約に基づき、アステラス製薬は、Poseida社の新規発行株式833万3333株(同社取得後、Poseida社の発行済株式総数の約8.8%に相当)を1株当たり3.00米ドルで取得するための2500万ドル、および複数の固形がんを対象として開発中の他家CAR-T細胞プログラムであるP-MUC1C-ALLO1の独占的かつ優先的な交渉権を取得するための2500万ドルの総額5000万ドル(約72億円)をPoseida社に投資する。
 さらに、アステラス製薬は取締役会、および科学諮問委員会(Scientific Advisory Board)にオブザーバーとして参加する権利と、Poseida社の経営権の変更に関する一定の権利も取得する。
 アステラス製薬は、研究開発戦略であるFocus Areaアプローチの中で、特に注力しているPrimary Focusの一つに「がん免疫」を掲げている。同Primary Focusでは、多機能プラットフォームを活用した次世代のがん免疫治療法の創出に取り組んでおり、そのポートフォリオは、腫瘍溶解性ウイルスや二重特異性免疫細胞誘導、低分子、細胞医療など、多岐に渡っている。
 Poseida社は、独自の遺伝子編集プラットフォームを活用し、がんや希少遺伝子疾患を対象とした細胞医療および遺伝子治療の研究開発に取り組んでいる。がん領域では、複数の固形がんを対象としたP1試験を実施中のP-MUC1C-ALLO1をはじめ、固形がんおよび血液がんを対象とする他家CAR-T細胞プログラムの幅広い開発パイプラインを有している。
 なお、同件によるアステラス製薬の通期(2024年3月期)連結業績への影響は軽微である。

◆Adam Pearsonアステラス製薬の経営戦略担当CStO(Chief Strategy Officer)のコメント
 我々は、がん領域における幅広い専門知識、経験、独自の技術を活かし、多くの患者さんにおいて、がん細胞を発見し破壊できるように免疫システム機能を再活性化することに注力している。
 そのために、外部パートナーとの提携や、アステラス製薬のグローバルな創薬ケイパビリティの最大化を通じて、革新的で多機能なモダリティプラットフォームの確立を進めている。
 今回の戦略的提携は、アステラス製薬のがん免疫の戦略に合致しており、がん免疫療法を必要とする患者さんに対する新しい治療法の開発につながると確信している。

◆Mark Gergen Poseida社CEOのコメント
 私たちは、患者ケアを改善する革新的な医薬品の開発において、細胞医療および遺伝子治療が刺激的な成長領域となるという、私たちの長期的なビジョンを共有できる、卓越したバイオ医薬品企業であるアステラス製薬と契約できることを大変嬉しく思う。
 本提携は、私たちの新規遺伝子工学技術プラットフォームおよび細胞医療アプローチの可能性をさらに実証するものだ。アステラス製薬と協力して、私たちが共有するビジョンを推進し、私たちの可能性をさらに高めるために必要な新たなコラボレーション機会を探ることを期待している。

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