千葉大学予防医学センターと第2期寄附研究開始 積水ハウス

疫学調査による住環境と健康の因果を医学的観点で研究

 積水ハウスは27日、2022年4月から新たに「千葉大学予防医学センター寄附研究部門第2期」を開始し、現在は今年の1月から2026年夏にかけた長期調査として「健康と住まいの環境に関する全国調査(J-hohec)」を実施していると発表した。。
 同調査は、2017年から千葉大学と共同で実施していた研究に続くもの。人々の健康的な暮らしを支える住まいのあり方に関する検討を進めるため、「ゼロ次予防」住環境創造を目指す。
 なお、千葉大学予防医学センター寄附研究部門第1期「積水ハウス健やか住環境創造のためのシックハウス症候群対策研究部門」の研究は2022年3月に終了し、空気環境配慮仕様「エアキス」について実証実験住宅における脳波測定実験などを基にした分析・評価で得られたエビデンスを公開している。
 積水ハウスは、グローバルビジョン“「わが家」を世界一幸せな場所にする”の実現に向け、人生100年時代における「幸せ住まい」を追求している。積水ハウスが提供している次世代室内環境システム「SMART-ECS」は、約8割の顧客に採用されており、世の中の空気環境に関する関心も高まっている。住まい手の幸せ・健康のため、室内の空気環境への継続的な研究は必要不可欠だと考えられる。
 千葉大学予防医学センターは、将来、環境由来の病気になるかもしれない人たちに対して、どのような方法、環境だと予防ができるかを研究すべく、2007 年に千葉大学内に設立した。「環境予防医学」分野の他、健康な身体、健康な心、健康な環境を3本柱として、生活習慣病や心の病、環境がもたらす健康影響などを事前に予防する「予防医学」の研究・普及を図っている。
「千葉大学寄附研究部門第2期」(2022年~2026年)は、「疫学調査による住環境と健康の因果関係を医学的観点から解明」、「メンタルヘルスに着目した住環境コンサルティングシステムの構築」、「最新エビデンスの集約による‟ゼロ次予防ガイドライン”の開発と普及」を目的とする。
 両者は、今回の共同研究を通して、次世代健康住宅の提案による、住まい手への健康な暮らしの提供により、社会全体の健康レベルの向上に貢献していく。

【国立大学法人千葉大学予防医学センター森千里センター長、鈴木規道同センター准教授のコメント】

 第1期の研究では、2棟の滞在型の実験住宅を建設していただき、シックハウス症候群の発生リスク低減を目指した多くの実験成果を得る事ができた。得られた成果は複数の国際論文誌に掲載されている。
 第2期の寄附講座では、新たに疫学調査を立ち上げ、複数年の追跡調査を行う。住んでいる「家の環境」や「住んでいるまち」の環境がヒトの健康やWell-beingにどのように影響しているのかに迫る。
 現世代だけでなく、次世代の健康を考え、得られた多くの研究知見が企業を通して社会実装されることを期待している。

【空気環境に関するこれまでの取り組み】

 空気環境に関する研究は2007年に「ケミレスタウン・プロジェクト」として、千葉大学と住宅メーカー等による共同研究として開始。千葉大学環境健康フィールド科学センター(千葉県柏市)の一区画に、健康に配慮した一戸建て住宅や集合住宅・講義棟などを建設し、シックハウス症候群と考えられる子どもを中心に短期間滞在していただき、症状の改善を図る共同研究であった。
 2009年に同社実験棟が、NPO法人ケミレスタウン推進協会より戸建住宅として第一号となるプロトタイプ認証を受けた。同研究成果を参考に2011年に空気環境配慮仕様「エアキス」を発売した。

 2017年からは積水ハウスが千葉大学予防医学センター内に寄附研究部門を設置し、2022年まで研究を実施。空気環境配慮仕様「エアキス」の健康効果を医学的観点から検証するとともに、シックハウス症候群発生機序の解明、心地よさなど心理的な健康増進要素の探索、シックハウス症候群対策住宅のコンサルティングシステム構築などについて研究した。

【千葉大学予防医学センター寄附研究部門第1期】

「積水ハウス健やか住環境創造のためのシックハウス症候群対策研究部門」の主な研究内容と成果

1.空気環境配慮仕様「エアキス」のさらなる健康効果を医学的観点から検証

2.シックハウス症候群発生機序の解明、心地よさなど心理的な健康増進要素の探索

3.シックハウス症候群対策住宅のコンサルティングシステム構築

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