米国でのデング熱ワクチンの生物学的製剤承認申請を自主的取り下げ 武田薬品

 武田薬品は12日、デング熱ワクチン候補(TAK-003)について、米国におけるTAK-003のBLAを自主的に取り下げたと発表した。米国FDAと現行の生物学的製剤承認申請(BLA)の審査サイクル内では解決できないデータ収集に関する議論を経て取り下げたもの。
 米国におけるTAK-003に関する今後の計画は、旅行者およびプエルトリコなどの米国のデング熱流行地域に居住する人々のニーズを考慮してさらに評価される予定だ。TAK-003は、複数のデング熱の流行国および非流行国で承認されており、今後数年で更なる承認が見込まれている。
 TAK-003の有効性および安全性プロファイルは、8つのデング熱流行地域に居住する2万例を超える小児および成人を対象とした4.5年間のP3試験を含む強固な臨床試験プログラムにより示されていまる。
 この臨床試験は、被験者脱落防止と治験実施計画書遵守をデング熱流行地域においても達成できるよう、世界保健機関(WHO)による第2世代のデング熱ワクチンに関するガイダンスに基づいてデザインされていた。
 昨年、TAK-003は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)から、欧州連合(EU)における承認とEU-M4all (旧称:Article 58)制度を通じての EU域外の国々における承認を目的とした医薬品に適用されるEMAが実施する並行審査の結果、欧州連合およびEU-M4all制度に参加している世界のデング熱流行国における承認を推奨する肯定的見解を取得。以来、TAK-003は、欧州連合(EU)、英国、ブラジル、アルゼンチン、インドネシアおよびタイで承認されている。
 デング熱は、世界的な公衆衛生の危機であり、デング熱の脅威に晒されている世界中の何百万もの人々を支援するために更なる予防法が必要とされている。

◆Gary Dubin武田薬品グローバル ワクチン ビジネス ユニットプレジデントのコメント
 当社の臨床試験は、世界におけるデング熱の複雑な性質に対応するようにデザインされている。4.5年間にわたる追跡調査の結果、TAK-003はワクチン接種前の血清反応によらず、良好なベネフィットリスクプロファイルを示しており、当社はTAK-003が、デング熱に対する長期的な予防の一助となりうると考えている。
 世界では、増大するデング熱がもたらす負担と戦うという緊急性の高い公衆衛生ニーズが依然として存在するため、当社は、米国での次のステップを決定する一方で、引き続き、デング熱流行国の居住者および旅行者のために、各規制当局による審査を進め、人々のワクチンへのアクセス向上を図っていく。

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