MSDは29日、キイトルーダと化学療法の併用療法について、切除不能な進行悪性胸膜中皮腫の一次治療のP3試験(CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験)において、併用療法群はPFSとORRも統計学的に有意に改善したと発表した。
同試験の最終解析で、キイトルーダと化学療法の併用療法群では化学療法単独群と比較して全生存期間(OS)を有意に改善した。死亡リスクが21%低下し(HR=0.79 [95% CI, 0.64-0.98]; 両側検定p値=0.0324)、OSの中央値はキイトルーダと化学療法の併用療法群では17.3カ月(95% CI, 14.4-21.3)、化学療法単独群では16.1カ月(95% CI, 13.1-18.2)であった。
この最新の結果は、6月3日に2023年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会の口頭アブストラクトセッションで発表(アブストラクト#LBA8505)され、世界各国の規制当局へ承認申請する予定である。
◆Lesley Seymour CCTG Investigational New Drugプログラムディレクター、IND.227試験の上席治験責任医師のコメント
悪性胸膜中皮腫は進行してから診断されることが多く、進行してからの5年生存率はわずか12%で、手術で根治させることはできない。この試験ではペムブロリズマブをプラチナ製剤+ペメトレキセドに追加することで、PD-L1の発現状況にかかわらず、全生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率がプラチナ製剤+ペメトレキセド単独と比較して有意に改善した。このレジメンは進行悪性胸膜中皮腫の新たな治療の選択肢となる可能性がある。
◆Gregory Lubiniecki MSD研究開発本部グローバル臨床開発担当バイスプレジデントのコメント
今回の結果は、キイトルーダ+化学療法が、治療の選択肢が限られている進行悪性胸膜中皮腫の新たな一次治療の選択肢となる可能性を示すものである。我々は、新たな難治性の腫瘍を対象にキイトルーダを評価する広範な臨床開発プログラムや研究を行っている。今回のデータは、その中でも様々な呼吸器がん患者さんのアウトカムを改善する当社の取り組みの結果を示すものとなる。