IQVIAジャパン グループは1日、2022年会計年度(22年4月~23年3月)と、2023年第1四半期(1~3月)の日本医療用医薬品市場(薬価ベース)を、「IQVIAジャパン トップライン市場データ」として発表した。
同データによると2022年会計年度の日本に医療用医薬品市場は、10兆9688億4900万円(対前年比2.6%増)となった。2023年第1四半期は、2兆5904億6200万円(前年同期比1.3%増)。なお、新型コロナウイルスワクチンは政府一括購入のため、同統計には反映されていない。
2022年会計年度の市場別では、「病院(病床100床以上)」5兆938億3700万円(前年比2.5%増)、「開業医(病床100床未満)」2兆735億8100万円(同3.7%増)、「薬局その他」3兆8014億3100万円(同2.2%増)となった。
2023年第1四半期の市場別では、「病院」1兆2032億1700万円(同1.3%増)、「開業医」4800億4200万円(同1.1%増)、「薬局その他」9072億0200万円(同1.4%増)。
IQVIAジャパン グループでは、日本のヘルスケア産業の発展と透明性の創造、および社会の皆様に日本のヘルスケア市場についての理解を深めるため、市場規模や薬効、製薬企業および医薬品の売上、処方、疾病に関するトップラインデータをメディアや医療・医学の研究に携わっている学術研究機関へ提供している。2022年会計年度および2023年第1四半期の日本医療用医薬品市場トピックは次の通り。
【2022年会計年度のトピックス】
◆当該期間の日本医療用医薬品市場は、2年連続前年比増(2.6%)で10兆9688億4900万円。2005年暦年(1-12月)のトップライン市場データ発表以来、22年の暦年に続き会計年度としても最高額となった。
◆売上げ上位10薬効は、新型コロナウィルスの市場インパクトで、前年同7位の「T02診断用検査試薬」が4位へのランクアップ。加えて、治療薬が含まれる「J05 全身性抗ウイルス剤」が18年会計年度8位以来の4年ぶりに6位へランクインした。
上位10薬効中最も高い伸び率は、「J05 全身性抗ウイルス剤」の77.6%で、次いで「T02 診断用検査試薬」が45.8%だった。「T02診断用検査試薬」は市場インパクトは大きかったが、インフルエンザや糖尿病などほぼ保険償還対象外の製品で構成され、Withコロナにおける国内医療用医薬品市場の実態評価の上では注意を払うことが必要である。
◆売上げ上位20社(販促会社レベル)のトップは、22年暦年同様、昨年初めてトップになった中外製薬(5323億5200万円、1.4%増)が2年連続首位をキープ。一方、成長率ではギリアド・サイエンシズが前年比108.3%(1866億円)で20位で新たにランクインした。
◆売上げ上位10製品では、前年に続き上位6製品が1000億円超であり、6位にベルクリー(1077億4900万円・408.2%増)が新たにランクインした。「J05 全身性抗ウイルス剤」は上位6位(3,571億99百万円)の市場であり、ベルクリーはその30.2%を占める。
【2023年第1四半期のトピックス】
◆売上げ市場別では、「病院」1兆2032億1700万円(1.3%増)、「開業医」4800億4200万円(1.1%増)、「薬局その他」9072億0200万円(1.4%増)。2年連続の全3市場プラス成長。
◆売上げ上位10薬効では、「J05 全身性抗ウイルス剤」は846億4700万円(38.9%増)と前年同では新たにランクイン。前期の22年第4四半期は売上額・ランキングで、1342億8900万円・4位から共に下回ることになった。6位「T02診断用検査試薬」871億9500万円(13.5%減)は、前年同4位1007億4700万円(71.4%増)、前期5位1309億3000万円(94.1%)を下回り、マイナス成長へ転じた。
◆売上げ上位10製品では、22年第4四半期は、ラゲブリオ(188億0200万円)が10位で2四半期連続ランクイン。前期は(478億7600万円)でトップとして新たにランクインしたが、移動1四半期で、売上額約225億円の減少でランクを9下げた。
同じく前期3位、前々期(22年第3四半期)2位のベルクリーは前期に続きランクアウトした。今期トップから3位は、オプジーボ、キイトルーダ、リクシアナと2022年第2四半期と同じになった。