生成AIを用いたチャットツールの全社運用開始 住友ファーマ

 住友ファーマは2日、本年5月26日より生成 AI を用いたチャットツールの全社運用を開始したと発表した。
 同ツールは、OpenAI社が提供する「ChatGPT」と同等の機能を持つ対話型のウェブツールだ。OpenAI 社が提供するAIエンジンを利用するが、OpenAI社が情報を二次利用しない環境となっている。同ツールの利用対象者は、住友ファーマの全従業員である。
 住友ファーマは、本年4 月に策定した中期経営計画2027において、重点課題の一つに「デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速」を掲げており、デジタル基盤を最大限に活用し、データドリブンな意思決定のもと、すべての人材が継続的に業務変革と価値創造に取り組み、自律推進する組織への変革に取り組んでいる。
 同取組の一環として、住友ファーマは新技術をタイムリーに導入し、迅速にアプリケーションを開発、運用する体制を有している。これまでに、機械翻訳ツールや情報管理システムの開発など、さまざまな社内ニーズに対応してきた。
 今回は、OpenAI 社が提供している「ChatGPT」の「文章を生成する力」と「豊富な知識」という長所を生かしつつ、社外への情報流出といったリスクを排した仕様で開発しており、一般業務の効率化から、研究開発における価値創出までさまざまな場面に活用できるものと期待されている。
 大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)の利用においては、誤った情報が生成されるなどの問題が指摘されている。同社は、米国子会社であるスミトバント・バイオファーマ・インクを中心として以前よりLLMを活用しており、この経験をもとに同ツールの質問テンプレートや利用ガイドラインの作成に生かしている。
 利用ガイドラインの策定に際しては、当社内の関係部署がさまざまな視点から検討を行い、各種規制を遵守した運用ができるようルールを定めた。また、同ツールのリリースに先立って実施した検証では、情報収集や整理、社内資料の作成、データの整形等で特に有用であることが確認されており、研究開発、生産・品質管理、営業などのあらゆるバリューチェーンにおいて、生産性の向上が期待される。
 今後、一般的な知識のみを保有する本ツールに加えて、医薬品や薬剤開発に関する情報も保有する「強化版生成 AI」の開発も進めていく。
 住友ファーマは、今後も、DX の加速を通じて、新たな技術を積極的に取り入れ、業務変革と価値創造に取り組んでいく。

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