2030年までに売上高2000億円目指す アッヴィ合同会社ジェームス・フェリシアーノ社長

フェリシアーノ社長

 事業開始10周年を迎えたアッヴィ合同会社は30日、東京都内で「アッヴィ ビジネスアップデート2023」を開催した。会見したジェームス・フェリシアーノ社長は、将来展望について「2030年までに売上高を倍増し、2000億円を目指す」と力強く宣言した。
 2022 年の製品売上高は、1001億3600万円で、2013 年比1.67倍となった。シナジス(抗RSウイルス抗体)販売移管や、C 型肝炎撲滅に向けた市場の縮小および薬価改定の影響などのマイナス要因があったものの、「スキリージ(免疫疾患領域)」や「リンボック(同)」が伸長し、プラス成長を達成した。従業員数は 2013年比2.43倍の1500人超。
 フェリシアーノ氏は、「10年でアッビィは大きく成長した」と振り返り、「これからも無限の可能性に満ちた未来に向かって大きく成長していく」と言い切った。
 10年間(2013-2022)の成長エンジンとして「ヒュミラ(免疫疾患領域同)」、「スキリージ」、「リンボック」、マヴィレット(肝疾患)、ベネクレクスタ(がん領域)などを挙げ、「主力製品としてはヒュミラを含む2製品からのスタートであったが6つの新製品を発売、28の既存製品の追加承認を取得してポートフォリオを拡充した」と胸を張った。
 臨床試験数は 2013年比5.9 倍の82試験に増加。申請タイムラインが加速し、同時申請5件(2020年以降)を達成。免疫疾患とがんを中心に、精神・神経疾患などパイプラインが多様化し、今後の成長に寄与する。
 現在、免疫疾患(3 製品)、ウイルス感染症(3 製品)、精神・神経疾患(2 製品)、オンコロジー(1 製品)の領域で医薬品を提供しており、今後さらにポートフォリオを拡充していく。
 発売15周年を迎え信頼と実績を有するヒュミラに加え、リンヴォック、スキリージの新成長エンジンも合わせて、免疫疾患領域でのリーダーシップを強化し、がん領域では、血液がんに加え、固形がんの開発にも注力する。加えて、マーケットリーダーとして引き続き C型肝炎撲滅を加速する。

栁川氏

開発本部のミッションと人財戦略について説明した栁川政美開発本部本部長は、「社員が最大のアセットである」と断言。その上で、「差別化の源泉端的な表現型がCRAの内製化であり、成果となりつつある」と報告した。
 殆どの製薬企業がCRA業務をCROに外注する中、アッヴィでは内製化しており、栁川氏はそのメリットとして「世界で一斉に柔軟かつ迅速に治験が開始できる。コスト面でも効果がある」と指摘する。
 さらに、「CRAを内製化して8年経過したが、独自の開発戦略と相まって優秀な人財が集まっている。CRAとして経験を積んだ若手社員が、社内の関連部署で活躍している」と現状を明かした。
 また、日本及びアジアでの独自の開発にも言及し、「掌蹠膿疱症の効能追加は日本からの提案で、本年5月にスキリージ6番目の適応症として承認された」と紹介。その要因としてフェリシアーノ社長は、「この10年間、開発においてグローバルとの強い信頼関係が構築できた」ことを一番に指摘した。
 さらに、日本の医療のアンメットニーズに応え、いち早く新たな治療選択肢を提供する具体的な戦略として、「人と組織のさらなる成長、「グローバルとの連携強化」、「小児開発の業界全体の促進を目指して関係省庁と協力した仕組み作り」、「アジアの開発を日本がリード」を挙げた。


        

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