武田薬品は14日、デング熱ワクチン QDENGA(4 価弱毒生デング熱ワクチン)について、ブラジルで国家衛生監督庁(ANVISA: National Health Surveillance Agency)により承認を取得したと発表した。
同ワクチンの承認は、4種すべてのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的としたもので、4歳から60 歳までを接種対象としている。
QDENGAは、デングウイルス感染歴を問わず、またワクチン接種前の感染歴検査を必要としないブラジルで承認された唯一のデング熱ワクチンで、当局の推奨に従って使用する必要がある。
デング熱は蚊が媒介するウイルス性疾患である。世界人口の半分に公衆衛生上の重大な脅威をもたらしており、ラテンアメリカの多くを含む125ヵ国以上で感染リスクが高まっている。 重度のデング熱は、これらの地域の一部の国における小児や成人の入院や死亡の主な原因となっている。
保健省によると2022年にブラジルでは、デング熱の症例が140万例、死亡例が1000例を超え、症例数は2021年と比較して62.5%増加している 。
QDENGAの承認は、2万8000例を超える小児および成人を対象とした 19 件の臨床第 1、2、3 相試験に渡る結果に基づいている。グローバルP3試験(TIDES 試験:Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の4.5年の追跡調査データが含まれている。
TIDES 試験では、ワクチン接種から12ヵ月後に症候性デング熱症例の80.2%が予防されたことで、全般的なワクチン有効性(VE)という主要評価項目が達成された。
さらに、QDENGAは、ワクチン接種後18ヵ月後の入院の 90.4%を予防し、主要な副次評価項目も達成した。有効性は、血清型により異なり(DENV-1-4)、この TIDES試験の探索的解析により、4.5年の追跡調査期間を通して、QDENGAがワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者群(血清反応陽性群)と陰性の被験者群(血清反応陰性群)の両方を含む、全体集団においてデング熱による入院の84%、デング熱の 61%を予防したことが示された。 QDENGAの忍容性は概ね良好で、これまでにワクチン接種前の血清反応が陰性だった被検者群における重症化率が上がるエビデンスはなく、重要な安全性リスクは特定されていない。
武田薬品は、ラテンアメリカおよびアジアの他のデング熱流行国における規制当局への承認申請を引き続き行っていく。
◆José Manuel Caamaño武田薬品ブラジル法人プレジデントのコメント
ブラジルは、デング熱の有病率が高く、医療制度や地域社会におけるデング熱の大きな負担の制御に役立つ有効かつ安全なワクチンの選択肢を必要としている。
我々は、ブラジル政府および医療従事者にワクチンを提供できることを誇りに思い、またこのワクチンが、媒介害虫である蚊の駆除と共に総合的なデング熱対策プログラムの一環として、デング熱と闘うための重要なツールになることを期待している。
臨床試験結果によると、QDENGA は、入院を必要とするデング熱を含め、ブラジルにおける症候性デング熱の発症を有意に予防しうることが期待される。世界の国々に QDENGAを届けることは、武田薬品とって最優先事項であり、今回の承認は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献するという武田薬品の目的に向かう一歩である。
◆Vivian Kiran Lee武田薬品ブラジル法人メディカル・アフェアーズ部長(Dr.)のコメント
ブラジルの専門家および一般開業医によると、デング熱は感染者に影響するだけでなく、臨床医による他の患者さんへの医療サービスの提供にも影響するため、その流行と感染が引き起こす入院は、医療制度をかなり逼迫させる。
ワクチン接種前の血液検査を必要としない安全かつ有効なワクチンの承認は、ブラジルの人々のワクチンへの大規模アクセスと接種に対する深刻な障壁を軽減するために重要である。
QDENGA は、蚊の駆除対策と共に、デング熱と闘う国家プログラムの重要な柱となる可能性がある。さらに、この疾患の脅威に晒され、ワクチン接種の対象となるブラジルの人々に利益をもたらし、医療制度への負担を軽減するのに役立つと確信している。