塩野義製薬は13日、長崎大学およびMMVとの間で、新規マラリア治療薬の創出に向けた共同研究基本契約を締結したと発表した。
MMVは、最先端のマラリア治療薬の研究開発を行う製品開発パートナーシップで、新規で効果のある容易に入手が可能なマラリア治療薬の研究、開発、供給によるマラリア蔓延国の救済をミッションとしている。
同社と長崎大学との既存協定に新たにMMVが加わる同研究プロジェクトは、グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)に採択され、資金提供を受けて実施される。
GHIT Fundは、感染症の制圧を目指し、日本の技術、知見、イノベーションを用いた治療薬、ワクチン、診断薬の開発を推進する日本発の国際的な官民ファンドである。
マラリアは、エイズ、結核と並ぶ世界三大感染症の一つであり、マラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する疾患だ。主に熱帯、亜熱帯地域で流行しており、1年間の感染者数は世界で約2.5億人、死亡者数は約62万人と報告されている。
予防ワクチンの有効性が十分ではない上、既存の治療薬に耐性を示す原虫が増加してきているため、マラリアは依然として大きな医療ニーズが存在し、人類の脅威として世界的に深刻視されている。
塩野義製薬と長崎大学は、2019年2月に「マラリアを中心とした感染症分野における包括的連携」に関する協定を締結し、これまでマラリアの予防および治療に関する研究を進めてきた。
この共同研究により見出された治療薬の候補化合物群について、今回締結した3者共同研究契約を通じて連携し、新規マラリア治療薬の研究ならびに開発候補品の創出に向けて取り組んでいく。
MMVは世界中の抗マラリア薬の開発に関与する国際的な非営利組織であり、今回の共同研究契約により、候補化合物の迅速な評価と早期の開発ステージへの移行が期待される。