認知症改善薬開発強化でTetra社と新たな出資・合併契約締結  塩野義製薬

塩野義製薬株は6日、Therapeutics(本社:米国ミシガン州)との間で、新たな出資契約および合併契約を締結したと発表した。同社は、2018年12月、Tetraと戦略的提携を結び、認知機能改善薬の候補品BPN14770の研究開発を進めてきたが、今回の契約締結は同剤開発推進のさらなる強化を目的としたもの。
 Tetra社が創製したBPN14770は、記憶形成に関わるPhosphodiesterase 4D(PDE4D)を標的とするネガティブアロステリックモジュレーターで、これまで開発されてきたPDE4D阻害薬で見られる嘔気等の副作用を回避しつつ、認知機能の改善が期待されている。
 BPN14770は、非臨床試験において、アルツハイマー型認知症や脆弱X症候群の動物モデルでの認知機能障害への改善効果が確認されており、臨床での認知機能低下を伴う様々な疾患に対する効果が注目される。
 現在、Tetra社によりアルツハイマー型認知症(AD)並びに脆弱X症候群患者を対象としたP2試験が米国で実施されているが、ADを対象としたP2試験(PICASSO AD 2)は当初の予定よりも早期に患者登録が完了し、2020年3月中には結果速報が得られる見込みにある。
 また、これまでに得られている臨床および非臨床試験結果より、同薬はAD患者をはじめとする認知機能障害に対して高い効果を有する可能性を示している。
 さらに、ネガティブアロステリックモジュレーターという特徴から、同社ではこれまで開発されてきたPDE4D阻害薬に見られる嘔気等の副作用懸念が小さいと考えており、同薬に対する期待は大きい。加えて、Tetra社の有する中枢神経系の創薬ノウハウの塩野義製薬研究開発への活用も嘱望されている。
 こうした中、塩野義製薬では、PICASSO ADの結果速報取得前のタイミングであっても、Tetra社との戦略的提携をさらに強化することに意義があると考え、Tetra社への出資比率を50%まで引き上げる出資契約とともに、条件を満たした場合には子会社化する合併契約をTetra社と新たに締結した。
 なお、同件が2020年3月期連結業績に与える影響は軽微である。

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