MSDは8日、ヒトパピローマウイルス(HPV)の9つの型に対応した「シルガード9性懸濁筋注シリンジ(酵母由来))」について、9歳以上15歳未満の女性に対する合計2回接種の用法及・用量追加承認を取得したと発表た。
「シルガード9」は、9歳以上の女性を対象に、子宮頸がんなどの予防を効能又は効果として、合計3回接種する用法及び用量で、2020年7月21日に製造販売承認を取得した。今回の追加承認は、国内ならびに海外P3試験の結果に基づくもので、9歳以上15歳未満の女性における2回接種の免疫原性(抗体の産生など免疫反応を引き起こす性質)および安全性は良好であることが確認された。
従来の3回接種に加え、9歳以上15歳未満の女性に対しては合計2回の接種が可能となる用法及び用量が承認されたことにより、この年齢に当てはまる女性の来院および接種回数を1回軽減。加えて、ワクチン接種者や医療関係者をはじめとする接種に関わる人々の負担軽減にも繋がるものと考えらえる。
MSDは、こうしてHPVワクチンの接種環境がさらに整うことで、日本における子宮頸がんの予防が促進されることを期待している。
「シルガード9」は、9つのHPV型(6、11、16、18、31、33、45、52、58型)に対応した9価HPVワクチンである。これら9つのHPV型のうち、HPV16、18、31、33、45、52、58型の7つの型は、子宮頸がん、外陰がん、腟がんなどの原因となることが知られている。
子宮頸がんの原因となるHPV型のうち、これら7つの型のカバー率は88.2%。また、HPV6、11型は、肛門や性器周辺に良性のイボが発生する尖圭コンジローマの原因の約90%を占めている。
9価HPVワクチンは、2014年12月に世界で初めて米国で承認されて以来、2023年2月時点で80以上の国または地域で承認されている。また、米国を含む諸外国では、定期接種として概ね11~13歳を対象に9価HPVワクチンの2回接種が推奨されている。
日本では、毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約2900人が亡くなっている。
また、子宮頸がんは20代、30代の若い女性でも罹るがんで、発症年齢が出産や働き盛りの年齢と重なることもあり、治療によって命を取りとめても女性の人生に大きな影響を及ぼす場合が多い疾患である。
子宮頸がんの予防方法には、10代からのワクチン接種と20歳になってからの定期的な検診がある。