新型コロナ経口治療薬ラゲブリオ P3試験で家庭内接触者の感染防止効果未達 MSD

 MSDは28日、新型コロナ経口治療薬ラゲブリオについて、P3相MOVe-AHEAD試験において新型コロナ感染症患者の家庭内接触者の新型コロナ発症リスクに関して統計学的に有意な減少を示さなかったと発表した。
 MOVe-AHEAD試験は、ベースライン時に新型コロナウイルス感染症に罹患しておらず(ベースライン時のSARS-CoV-2検査で陰性、かつ徴候や症状がない)、新型コロナウイルス感染症と最近診断された患者と同居する人を対象に実施されたもの。
 主要評価項目について、ベースライン時にSARS-CoV-2の感染が示されなかった(SARS-CoV-2検査で陰性であった)被験者において、ラゲブリオ投与群ではプラセボ投与群と比較して14日目までに新型コロナウイルス感染症を発症(ベースラインより後のSARS-CoV-2検査で陽性、かつ徴候または症状を有する)するリスクが23.6%低かったものの、主要評価項目は達成されなかった。
 この試験におけるラゲブリオの安全性プロファイルは、新型コロナウイルス感染症の治療における既知の臨床試験および使用許可取得後の使用経験で認められている安全性プロファイルと概ね一貫していた。
 MSDは、この試験の結果の全体を学会発表または論文発表する予定である。

◆Dean Y. Li MSD研究開発本部プレジデントのコメント
 この曝露後予防の試験の結果は、新型コロナウイルス感染症について継続的に知見を積み重ねていく上で科学的に興味深いものである。この試験は、治療に関する試験ではなく、今回の結果はMOVe-OUT試験で認められた軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の治療における有効性と安全性に影響を与えるものではない。
 当社は引き続き、使用許可または承認されている地域において、ラゲブリオを新型コロナウイルス感染症の適切な高リスク患者さんに対する治療薬として提供することや、RSVなどの他の感染症患者さんに本剤がベネフィットをもたらす可能性についての研究に継続して注力していく。
 ラゲブリオは、米国、英国、オーストラリア、中国、日本を含むいくつかの市場で、新型コロナウイルス感染症と診断された特定の成人患者の治療薬として承認または使用許可されている。
 同剤は、新型コロナウイルス感染症の曝露前または曝露後の予防のための使用は認められていない。

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