抗HIV持続型注射剤Cabenuva ビクテグラビルとの直接比較P3b試験で好結果 塩野義製薬

 塩野義製薬は27日、HIV治療におけるカボテグラビル(ヴィーブ社)およびリルピビリン(ヤンセン社)との合剤である抗持続型注射剤「Cabenuva」について、経口投与レジメン「ビクテグラビル」 (ギリアドサイエンス社)と直接比較したP3b試験(SOLAR試験)において良好な結果を得たと発表した。グラクソスミスクライン(GSK)およびファイザーとともに資本参加しているヴィーブ社が公表したもの。
 SOLAR試験は、Biktarvyで治療中のウイルスが抑制されているHIV患者(N=670)を対象として、Cabenuvaによる治療への切り替え(N=447)、もしくはBiktarvyによる治療の継続(N=223)の2群に分けて有効性、安全性、治療満足度等を評価したP3b相臨床試験。
 SOLAR試験の結果、12ヵ月時点のウイルス学的失敗基準(血漿中HIV-1 RNA ≧50コビー/mL)に合致する患者の割合では、Cabenuvaへの切り替え群はBiktarvy継続群に対し非劣性を示し、主要評価項目を達成した。
 また、平均治療満足度スコア(HIVTSQ)による調査の結果、治療満足度はベースラインからの変化量が Cabenuvaでは3.36となり、Biktarvyの結果-1.59と比較して統計学的に優位な改善が認められた。(p<0.001)(ベースラインCabenuva:57.88、Biktarvy:58.38)
 さらに、Cabenuvaによる治療に切り替えて調査を完了した参加者の約90% は、毎日服用の経口薬よりも持続型注射剤による治療を好んだ(n=382/425)。
これらの試験結果は、第30回 Conference on Retroviruses and Opportunistic Infectious (CROI)2023で報告された。
 世界初の持続型注射剤であるCabenuvaは、米国、欧州、日本を含むグローバルで展開している(欧州と日本では Vocabriaおよび ボカブリア水懸筋注の製品名で販売されている)。
 今回発表された結果は、HIV感染患者の治療満足度をさらに向上することで、HIV治療のパラダイムシフトを起こす可能性を示唆している。新たな治療の選択肢であるCabenuvaの価値をより多くのHIV感染患者に提供できるようにヴィーブ社は引き続き有効性および安全性の情報を収集していく。また、患者から報告された転帰に関する追加データを含むSOLAR試験の追加調査結果は、今後の学会で発表される予定である。
 なお、同件が塩野義製薬の2023年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。

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