オプジーボ・カボメティクス併用療法 進行腎細胞がん一次治療P3試験で好結果 小野薬品

 小野薬品は17日、オプジーボとカボメティクスの併用療法について、進行腎細胞がんのファーストライン治療を対象としたP3試験(CheckMate-9ER試験)の3年以上にわたる追跡調査において持続的な生存ベネフィトを示したと発表した。同社と提携するブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が13日に公表したもの。
 CheckMate-9ER試験の3年間(最短36.5カ月;中央値44.0カ月)の追跡調査結果では、オプジーボとカボメティクスの併用療法が、スニチニブと比較して、進行腎細胞がん(RCC)のファーストライン治療において、生存期間および奏効率で持続的なベネフィットを示した。
 また、バイオマーカーの解析では、オプジーボとカボメティクスの併用療法は、PD-L1発現状況にかかわらず、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の中央値で持続的な改善を示した。
 これらの最新結果は、2月16日~18日にかけて開催されている2023年米国臨床腫瘍学会の泌尿器がんシンポジウム(ASCO GU)で、口頭発表(1件)およびポスタープレゼンテーション(1件)で発表された。

【抄録番号#603:進行腎細胞がん(aRCC)のファーストライン治療におけるニボルマブとカボザンチニブの併用療法とスニチニブとの比較:第Ⅲ相CheckMate -9ER試験の3年間の追跡調査(Burotto, et. al.)】
 中央値44.0カ月(最短36.5カ月)の追跡調査において、オプジーボとカボメティクスの併用療法群(n=323例)はスニチニブ群(n=328例)と比較して、引き続き、良好なOS、PFS、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)および完全奏効(CR)率の改善を示した。
 追跡調査において、新たな安全性シグナルは認められませんでした。全患者集団の結果は以下の通り。

・OS:オプジーボとカボメティクスの併用療法群は、スニチニブ群と比較して、OSの中央値(併用療法群49.5カ月 vs スニチニブ群35.5カ月)を改善し、引き続き、死亡リスクを30%低減した(ハザード比[HR]0.70;95%信頼区間[CI]:0.56 – 0.87)。
 また、OSの中央値は、以前のデータカット時点の中央値が32.9カ月の追跡期間から11.8カ月改善した。

・PFS:PFSに対するベネフィットは維持され、併用療法群は、スニチニブ群と比較して、PFSの中央値を引き続き2倍に延長した(併用療法群16.6カ月 vs スニチニブ群8.4カ月;HR 0.58;95% CI:0.48 – 0.71)。
ORRおよびDoR:ORRに対するベネフィットは維持され、併用療法群は、スニチニブ群と比較して、2倍近くのORRを示した(55.7% vs 28.4%)。
 また、DoR中央値はスニチニブ群の15.2カ月と比較して、併用療法群では23.1カ月であり、併用療法群の方がDoRもより持続的であった。

・CR:CR率は、併用療法群で12.4%、スニチニブ群で5.2%で、維持されていた。

・安全性:グレードにかかわらず、治療に関連する有害事象(TRAE)が、併用療法群の97%、スニチニブ群の93%で認められた。グレード3以上のTRAEは、併用療法群で67%、スニチニブ群で55%であった。

 この結果は、国際転移性腎細胞がんデータベースコンソーシアム(IMDC)のリスクスコア(favorable、intermediate、intermediate/poorおよびpoor)でも評価された。オプジーボとカボメティクスの併用療法群で、IMDCリスクにかかわらず、すべての有効性指標(OS、PFS、ORRおよび CR)でベネフィットが認められた。

【抄録番号#608:進行腎細胞がん(aRCC)に対するニボルマブとカボザンチニブの併用療法とスニチニブを比較した第Ⅲ相CheckMate -9ER試験におけるバイオマーカー解析(Choueiri, et.al.)】

 CheckMate -9ER試験の中央値44.0カ月の追跡調査における探索的事後解析において、オプジーボとカボメティクスの併用療法群は、PD-L1発現状況にかかわらず、PFSおよびOSの両方の中央値を改善した。PFSおよびOSは、腫瘍のPD-L1発現(1%未満または1%以上)、CD8の割合(3分の1ごとに低、中、高)、CD8トポロジー表現型(炎症なし、除外、炎症あり)によって評価し、ログランク検定(PD-L1およびCD8)およびCox比例ハザード(Cox PH)モデル(CD8)による カプラン・マイヤー(KM)法を用いて関連性を評価した。
 確立された遺伝子発現シグネチャーなど、以前より抗PD-L1+抗VEGFの転帰を予測することが明らかになっているバイオマーカーは、必ずしも抗PD-1+抗VEGF標的療法の有効性を予測するものではなく、 抗PD-1療法と抗 PD-L1 療法に対する反応の主な決定因子は異なる可能性があることを示唆している。

◆Mauricio Burottoブラッドフォードヒル臨床研究センター(チリ、サンティアゴ)メディカルディレクターのコメント
 科学と医学の進歩にもかかわらず、転移性腎細胞がんの患者さん、特に高リスクに分類される患者さんの生存期間を持続的に延長できる治療選択肢が依然として必要とされている。 CheckMate-9ER試験のこれらの最新結果から、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法が、スニチニブと比較して、患者さんのリスク分類を問わず、3年以上にわたり生存期間を持続的に延長し、奏効ベネフィットを維持することがわかった。
 これらの結果は、患者さんに対するがん免疫療法薬とチロシンキナーゼ阻害薬の併用療法のレジメンの重要性およびこの治療困難ながん患者さんの生存への期待を変えるのに役立つ可能性を補強するものである。

◆Dana Walker BMSバイスプレジデント兼泌尿生殖器がん領域開発プログラム責任者のコメント
 当社には、がん免疫療法をベースとした併用療法を進行腎細胞がんの患者さんに提供し、複数のがん種においてオプジーボをベースとした併用療法で患者さんの予後を変えてきた確固たる実績がある。
 CheckMat-9ER試験の最新データは、進行腎細胞がんの患者さんのファーストライン治療におけるオプジーボとカボメティクスの併用療法の使用をさらに裏付けるものである。当社は、できる限り多くの患者さんの長期的な予後の改善に役立つ可能性のある解決策を求めて、科学界全体での協力関係および立証された抗がん剤による当社の併用療法のアプローチの探索に引き続き尽力していく。

◆Vicki L. Goodman Exelixis社製品開発部門・メディカルアフェアーズ部門のエグゼクティブ バイス プレジデント兼最高医学責任者のコメント
 中央値44カ月の追跡調査において、明確な生存ベネフィットは、進行腎臓がんの患者さんのファーストライン治療の選択肢として、オプジーボとカボメティクスの併用療法のレジメンの価値をさらに強固なものにする。我々は、ASCO GUでこれらの長期的な知見をお伝えできることを嬉しく思い、進行腎臓がんの患者さんの予後を改善するための長年の取り組みを堅持する。

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