北島北大准教授らが日本オープンイノベーション大賞選考委員会特別賞受賞 塩野義製薬

受章テーマは「COVID-19下水疫学調査の実用化」

表彰式での受賞者の記念撮影写真(左から塩野義製薬・小林イノベーションフェロー、北海道大学・北島准教授、AdvanSentinel・岩本部長

 塩野義製薬は16日、北海道大学大学院工学研究院の北島正章准教授らが「COVID-19下水疫学調査の実用化」で日本オープンイノベーション大賞選考委員会特別賞を受賞したと発表した。
 同特別賞の受賞者は、北島准教授、小林博幸塩野義製薬新規事業推進部部長(応募時の肩書)岩本遼AdvanSentinel研究開発部部長。
 受賞理由は、「東京2020オリンピック・パラリンピック選手村において下水疫学調査を実装し、選手村におけるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策への貢献、「下水疫学調査は今後の発展次第で非常に有効な公衆衛生システムになると考えられる」、「COVID-19以外にも、季節性インフルエンザをはじめ、他の感染状況の把握にも活用することが可能であれば、インフラとしての意味合いも非常に面白く、また評価できる」の3項目。
 イノベーションの創出を巡る国際的な競争が激化する中で、研究開発等の成果を迅速に社会実装し、社会的ニーズの解決や新たな価値の創造に繋げるための方法として、組織の壁を越えて知識や技術、経営資源を組み合わせ新しい取り組みを推進するオープンイノベーションが注目されている。
 こうした状況を踏まえ、日本のオープンイノベーションをさらに推進するために、今後のロールモデルとして期待される先導性や独創性の高い取り組みを、内閣府が「日本オープンイノベーション大賞」として称えている。
 同表彰では、オープンイノベーションの取り組みで、模範となるようなもの、社会インパクトの大きいもの、持続可能性のあるものについて、担当分野ごとに大臣賞、長官賞、経済団体、学術団体の会長賞および選考委員会特別賞の表彰をするとともに、各賞の中で最も優れたものを内閣総理大臣賞として表彰している。
 「COVID-19下水疫学調査の実用化」の各機関の役割及び受賞者のコメントは次の通り。

【各機関の役割】

◆北海道大学:受賞した取り組みの代表機関として、下水疫学調査の実用化にあたり下水中ウイルスの高感度検出技術や変異解析技術の開発と実証、東京2020オリンピック・パラリンピック選手村での実装などを主導してきた。
 さらに、インフルエンザウイルスなど他のウイルスに対象を拡張して技術開発を実施している。

◆塩野義製薬:2020年10月より始まった北海道大学との下水疫学調査の実用化に向けた共同研究を通じて、自動化に適した下水中ウイルスの高感度検出技術を開発するとともに、自動解析体制の構築を主導している。
 また、下水からのウイルス検出や変異解析のサービス提供を実現し、当該技術の実用化に大きく貢献してきた。

◆AdvanSentinel:2021年1月に塩野義製薬及び島津製作所の合弁会社として設立された下水疫学調査を主事業とする企業。北海道大学と塩野義製薬が共同開発した検出技術のキット化やその販売、分析受託事業の展開などを通して下水疫学調査の普及と社会実装に貢献している。

【受賞者のコメント】

◆北海道大学北島正章准教授
 このような栄誉ある賞を授与いただき大変光栄に存じる。授賞対象として評価いただいた「COVID-19下水疫学調査の実用化」は、私が学生時代から続けてきた学術研究が塩野義製薬・AdvanSentinelとの産学連携を経て社会に役立つ形で結実したものであると考えている。実用化に至るまでの技術的ブレイクスルー・イノベーションの実現に貢献いただいた共同受賞者の両氏をはじめ、全ての共同研究者及び関係者の皆様に心より感謝申し上げたい。
 今後は、国・自治体も加えた産官学でのオープンイノベーションの取り組みを展開し、下水疫学調査の社会実装の更なる推進に向けて尽力していく所存である。

◆塩野義製薬小林博幸イノベーションフェロー
 今回、日本オープンイノベーション大賞という大変名誉ある賞をいただき、身に余る光栄である。AdvanSentinelの岩本部長ら若手メンバーの発案から、異分野である北海道大学の北島先生らとの共同研究、COVID-19を一日でも早く解決するための島津製作所との連携・新会社設立などを通じて、日本の将来を担う若手メンバーが集結し、産学連携の総合力で成し得た受賞である。
 将来にわたる感染症対策の一つとして社会実装に向けた貢献ができるよう、さらに精進したい。

◆AdvanSentinel岩本遼部長
 この度は大変栄誉ある賞をいただき、大変ありがたく思う。AdvanSentinelは、下水中のウイルス濃度を分析することで対象地域の感染状況をモニタリングする下水疫学調査の社会実装を実現するために設立された。多くの関係者に支えていただきながら、社会実装への第一歩を踏み出したところですので、この度の受賞を大きな励みとして、より一層精進していきたい。

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