アンジェスは30日、NF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした開発を開始すると発表した。
NF-κB デコイオリゴ DNA は、2018 年 2 月に米国で椎間板性腰痛症の患者を対象とした後期P1試験を開始し、2021年4月に得られた結果では、重篤な有害事象(SAE)は認められず、高い安全性が確認されている。有効性についても探索的にデータを評価したところ、投与早期より腰痛は大幅に軽減し、腰痛の抑制は投与12ヵ月後まで継続した。
慢性椎間板性腰痛症治療用NF-κBデコイオリゴDNAの国内開発は、これらの結果をふまえて実施するもの。日本国内にも慢性椎間板性腰痛の患者は多く、国内において製品化した場合に事業性を見込めると判断した。今後は臨床試験のプロトコールなど、当局との交渉を進めていく。
NF-κBは、活性酸素などによる酸化ストレスなどの刺激が外部から与えられた時に、細胞が炎症反応や免疫反応を惹起させるため活性化する主要な転写因子である。
NF-κBデコイオリゴ DNAは、このNF-κB転写因子に結合して炎症性サイトカイン(細胞から分泌される生理活性物質)の放出を抑制し、過剰な炎症反応や免疫反応に起因する様々な疾患の治療における有効性が期待されている。
これまで慢性椎間板性腰痛症に対する治療は、消炎鎮痛剤などによる対症療法が中心であったが、NF-κBデコイオリゴDNAは過剰な炎症反応や免疫反応を惹起する原因物質を抑制するため、椎間板変性症などの病気の進行を抑える効果が期待される。
なお、アンジェスグループの研究開発費における本国内開発にかかる費用については軽微であり、この費用は、今後開示予定の当連結会計年度の業績予想に織り込んで公表する予定である。