“ビフィズス菌=「長寿菌」”を増やして腸から健康に
人生100年時代といわれ、日本人の“平均寿命”は年々延びているものの、健康上の問題がなく日常生活を送れるという意味の「健康寿命」は、男性72.68歳、女性75.38歳に留まっている。
大腸がんの患者はここ半世紀で70倍以上も増加し、この60年間に大腸がんで亡くなる人が男性で11倍、女性で8倍にも増加している。
近年、健康を維持するためには腸を制する、いわゆる“腸内環境を整えること」が重要といわれている。腸内環境を整えるためには、善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑える必要がある。
その善玉菌の中でも、最近注目を集めているのが「長寿菌」だ。そこで、長寿菌とは何かやその有用性、増やすための方法などを辨野義己氏(辨野腸内フローラ研究所理事長、理化学研究所名誉研究員)の研究を踏まえて解説したビオフェルミン製薬ニュースレターを紹介したい。
【なぜ長寿菌が必要なのか】
「長寿菌」とは、健康寿命が長い人の腸内に多い菌で、善玉菌として知られているビフィズス菌、大便桿菌(フィーカリバクテリウム)、ラクノスピラなどの菌を1つのグループにまとめた総称である。
特に、ビフィズス菌は他の常在菌と複合的に働くため、「長寿菌」が腸内環境に良い働きをもたらしている。
辨野氏の研究では、奄美大島に住む100歳の健康長寿の女性のうんちに、60~80 歳の一般女性の平均値の30倍以上のビフィズス菌が存在していることがわかった。
さらに、辨野先生は他の健康長寿地域の分析結果も踏まえ、「健康長寿の達成には、「長寿菌」が腸内細菌の40%~60%を占めることが理想的」と結論づけている。
【「長寿菌」を増やすには?】
大腸の腸内細菌の代表的な菌がビフィズス菌である。健康長寿の人たちの腸内細菌を調べてみると圧倒的にこのビフィズス菌が多いことが分かっている。そのため「長寿菌」を増やすには、まずビフィズス菌を含むもの(発酵食品、サプリなど)を摂ることが重要だ。
赤ちゃんの腸内細菌の 80%はビフィズス菌で、ビフィズス菌が赤ちゃんを病気から守っていることも考えられるが、多くの人は加齢とともにビフィズス菌が減少するといわれている。
そこで、意識的に毎日ビフィズス菌を取り入れるとともに、食事や睡眠、運動など、いわゆる「腸活」によって、「長寿菌」と密接に関係する生活習慣を見直すことが、もともと腸内に存在するビフィズス菌を活性化し、「長寿菌」を増やす上で大切である。
【「長寿菌」オススメ腸活ポイント~食事編~】
1、 野菜をたくさん摂る
特に善玉菌を増やす水溶性食物繊維の多い野菜を意識的に摂るようにしよう。水溶性食物繊維の多い野菜は、便をやわらかくしたり、善玉菌のエサになったりする。
2、 海藻や発酵食品も重要
ワカメ、モズク、コンブ、ヒジキ、アオサなどの海藻類や納豆、チーズ、ヨーグルトや乳酸菌飲料などの発酵食品も欠かせない。
3、動物性脂肪の摂りすぎによって体内に有害物質が増加
逆に避けたいのは、動物性脂肪の摂り過ぎだ。通常、動物性脂肪は、胆汁酸によって脂肪酸とグリセリンに分解され、エネルギーとして肝臓に蓄積される。この胆汁(胆汁酸)の大部分は回腸末端から再吸収される。
だが、胆汁酸の一部が大腸に流れ込むと、腸内細菌(悪玉菌)によって「二次胆汁酸」に変換される。二次胆汁酸は、人体に有害な作用をするといわれ、この悪影響を減らすためには、食生活の偏りを避け、二次胆汁酸を作らない腸内細菌(善玉菌)が優位な腸内環境に整えることも重要である。
【「長寿菌」オススメ腸活ポイント~生活編~】
寝不足あるいは運動不足は腸内環境を悪くする要因になる。生活面では、「お通じ」が自分の健康を知る上で一番大事なポイントになる。トイレのことを昔から「便所」と言うが、「便所」とは‟体からのお便りを受け取る所”を意味する。
また、笑うことも大切だ。ストレスの少ない生活は腸内細菌を活性化する。
【「長寿菌」オススメ腸活ポイント~運動編~】
毎日トイレに行っているのになんだかすっきりしない、という場合は弛緩性便秘の可能性がある。その大きな要因は運動不足だ。特に、インナーマッスルといわれる腸腰筋はお通じに影響する。
加齢に伴い便を押し出す力も弱まってしまうため、3階ぐらいはエレベーターを使わないで上り下りするなど、運動の習慣をつけておくことが重要である。
ビオフェルミン製薬では、大人気フィットネス Youtube チャンネル「Muscle Watching(マッスルウォッ チング)」とコラボし、腸を支える筋肉や、排便する時の力を保つ「腸腰筋」「骨盤底筋」を鍛える 7 種類の筋トレを Youtube(https://www.youtube.com/watch?v=OesdUPEJPws)で紹介している。
【「長寿菌」が多いかどうかを見極める方法は?】
自分の腸の状態を知るために目安になるのが「うんち」である。便通の調子が良い場合には、食べたものが12~16時間後に便として出る。特に、「長寿菌」が多いうんちは、次のような特徴がある。
・黄褐色(特にビフィズス菌が多いと黄褐色になる。ビフィズス菌は腸内環境のバロメーターである)
・あまり匂わない
・力まず気持ちよく出る
・毎日しっかりと(1日100~200g前後)出る
「長寿菌」を増やすためには、「うんち」の状態を日々確認しながら、腸内環境を整える腸活を毎日続けることが重要である。
他にも下記の項目すべてにチェックが入らないよう、バランスのよい食生活に気を配り、よく寝て運動し、ストレスをためない健康生活を心がけよう。