急性呼吸窮迫症候群治療薬の前期P2試験実施でVasomune Therapeutics社に200万米ドル出資 アンジェス

 アンジェスは26日、Tie2受容体アゴニスト「AV-001」の前期P2試験実施を目的に、カナダのバイオ医薬品企業に200万米ドル出資すると発表した。Vasomune Therapeutics社が発行する株式に200万米ドル出資するもので、出資予定日は、2023年1月。
 Vasomune社は、カナダのトロントにあり、トロント大学と提携している Sunnybrook Health Sciences Centreなどが出資して 2013 年に設立された創薬バイオベンチャー企業で、血管不全に関する疾患を対象としたTie2受容体アゴニスト(AV-001)の開発に取り組んでいる。
 AV-001は、2018年にアンジェスとVosomune社が共同開発に関する契約を締結し、当初重症の呼吸不全である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を適応疾患として開発を進めている。
 ARDSは、外傷や肺炎、輸血などさまざまな原因で起こる重症の呼吸不全であるが、根本的な治療法はなく有効な治療薬の開発が望まれている。
 これらの症状は主に、肺の毛細血管から血液成分等が漏れ出し、肺胞によるガス交換を妨げたりすることにより引き起こされる。AV-001 は、血管にあるTie2受容体と呼ばれる分子に結合(Tie2受容体アゴニスト)することで、血管の漏出を抑制する働きを持つと期待される。
 2020年に発生した新型コロナ感染症(COVID-19)のパンデミックにともない、COVID19 肺炎を対象として臨床開発を進めることとして、2020年12月から健常成人を対象としたP1試験を開始し、安全性、忍容性等を評価し、安全性と忍容性が確認された。さらに、2022年1月より重度の COVID-19 肺炎を対象に前期P2試験を米国及び南米において開始した。
 だが、COVID-19が変異を繰り返す中で、直近のオミクロン株においては重症化するリスクが低下し、対象となる COVID-19 肺炎患者の登録は難しい状況となった。
 そこで、対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む ARDSに広げるべく米国 FDAに申請し、承認を受けた。今回、アンジェスは対象患者の拡大に伴い、この試験を実施するための費用として、Vasomune 社に出資する。
 なお、同出資は、2023 年1月に実施予定であるため、2022年12月期の連結業績への影響はない。また、今回の出資により、アンジェスの連結子会社、関係会社等の変動はない。

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