maribavir P3試験で主要評価項目未達もCMV血症消失を確認 武田薬品

 武田薬品は20日、maribavirについて、造血幹細胞移植(HSCT)後のCMV感染治療薬としてバルガンシクロビルと比較したP3試験(AURORA試験)で主要評価項目未達も同剤がサイトメガロウイルス(CMV)血症の消失における臨床的に意味のある有効性を示したと発表した。
 同試験の主要評価項目は、治療期終了時(8週目)における、バルガンシクロビルと比較したmaribavirのみの投与後にCMV血症の消失(血漿CMV DNAがLLOQ未満、すなわち137 IU/mL未満)が確認された患者の割合。
 AURORA試験において、事前に規定した非劣性マージンである7%に基づき、バルガンシクロビルとの非劣性を検討した主要評価項目を満たさなかった。
 その一方で、(maribavir 69.6%[190/273]vs.バルガンシクロビル77.4%[212/274]、調整群間差:-7.7%、95% CI:-14.98、-0.36)において、maribavirがCMV血症の消失における臨床的に意味のある有効性を示した。
 武田薬品は、AURORA試験の結果を関連する規制当局と共有中であり、引き続き移植後の無症候性初回CMV感染に対するmaribavirの可能性について連携していく。
 AURORA試験の重要な副次評価項目では、投与終了から8週後の16週目に、8週目に達成したCMV血症の消失および症状コントロールを維持した患者の割合が、maribavir投与群(52.7%[144/273])の方がバルガンシクロビル群(48.5%[133/274]、調整群間差:4.4%、95%CI:-3.91、12.76)と比較して数値的に上回った。
 maribavirによるバルガンシクロビル群と同程度の維持効果は、12週目(maribavir 59.3%[162/273]vs. バルガンシクロビル57.3%[157/274])および20週目(maribavir 43.2%[118/273]vs. バルガンシクロビル42.3%[116/274])のすべての投与終了後評価で一貫していた。
 AURORA試験の安全性データの解析では、バルガンシクロビルと比較してmaribavirの良好な安全性プロファイルが再確認されたが、これは試験治療下での好中球減少症の発現がmaribavirの21.2%[58/273]に対してバルガンシクロビルが63.5%[174/274]であったことと関連し、maribavirの4%[11/273]と比較してバルガンシクロビルでは17.5%[48/274]の早期投与中止に至った。
 maribavirで最もよく報告された有害事象は、悪心(27.5%)と味覚不全(25.6%)であった。
 AURORA試験は、移植後のCMV治療としてのmaribavirに関する最も大規模なP3相、無作為化、比較試験であり、HSCTおよび固形臓器移植(SOT)後の従来の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1つまたはその併用)に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のCMV感染患者352名を対象として、maribavirまたは従来の抗ウイルス療法の有効性および安全性を評価するためのグローバル、多施設共同、無作為化、非盲検、実薬対照、優越性試験であるSOLSTICE試験に続くものである。
 AURORA試験の全データの結果は、査読付き学術誌にも投稿する予定だ。

◆AURORA試験治験責任医師で骨髄移植を専門とする血液学の第一人者のRafael F. Duarte(医学博士、RCPフェロー)のコメント
 造血幹細胞移植後のCMV感染患者さんには、好中球減少症や腎毒性と関連する今日一般的に使用されている従来の抗CMV治療薬よりも忍容性のある治療選択肢が必要である。
 AURORA試験において、maribavirがHSCT患者さんに臨床的に意味のある持続的なCMV血症の消失をもたらす可能性があることが示されたことを非常に嬉しく思っている。

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