抗体誘導ペプチド「FPP003」 欧州で物質特許成立 ファンペップ

 ファンペップは24日、開発中の抗体誘導ペプチド「FPP003」について、欧州で物質特許が成立し、欧州特許庁から特許公報が発行されたと発表した。
 同特許は、FPP003の用途(対象疾患)にかかわらず、物質そのものを広く保護する物質特許である。特許の概要は、次の通り。

【発明の名称】 疾患の要因となる生体内タンパク質を標的とするコンジュゲートワクチン
【出願人】 国立大学法人大阪大学、ファンペップ
 同社は、同特許について大阪大学から独占的な実施権の許諾を受けている。

【特許番号】 3434279

 抗体誘導ペプチドは、患者の体内で抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するペプチド治療ワクチンだ。
 バイオ製造施設で製造する抗体医薬品とは異なり、抗体誘導ペプチドは化学合成での製造が可能なため製造コストを抑制できる。
 さらに、投与後は患者様の体内で免疫細胞が一定期間持続的に抗体を産生するため、薬剤投与間隔も長いことが期待される。
 この特徴により、同社は、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制できる代替医薬品として抗体誘導ペプチドを開発し、先進国で深刻化する医療財政問題の解決や患者負担軽減に貢献していく意向を示している。
 ファンペップは、抗体誘導ペプチドの創薬プラットフォーム技術を保有していることを強みとし、大阪大学大学院医学系研究科との共同研究によって抗体誘導ペプチドの創薬研究を行っている。
 FPP003の標的タンパク質IL-17Aは、様々な炎症性疾患の病態に重要な役割を担っており、先行する抗IL-17A 抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等の幅広い疾患を対象に薬事承認を取得している。
 FPP003についても、日米欧等での世界展開を視野に入れて開発を進めており、現在、オーストラリアで尋常性乾癬を対象疾患としたP1/2a 試験を進めている。
 FPP003は、住友ファーマとの共同研究により創生した開発化合物である。ファンペップは、同社との間で北米での全疾患を対象とする独占的開発及び商業化権に関するオプション契約を締結しており、欧州を含む北米以外の地域については同社が優先交渉権を保有している。
 なお、同特許成立は、ファンペップの当期業績に影響を与えるものではないが、既に同特許が成立している日本及び米国等に続き、欧州でも本特許の実施について独占排他権が認められたことを意味する。
 加えて、FPP003 開発プロジェクトを強力にサポートするものである。

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