リムパーザとアビラテロンとの併用療法 転移性去勢抵抗性前立腺がん一次治療でCHMPが承認勧告 アストラゼネカとMSD

 アストラゼネカMSDは22日、リムパーザとアビラテロンとの併用療法について、転移性去勢抵抗性前立腺がんの一次治療として、欧州医薬品評価委員会(CHMP)より承認勧告を取得したと発表した。
 対象は、化学療法が臨床上適応とならない転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の成人患者。
 承認勧告は、2022年6月にThe New England Journal of Medicine Evidence誌で発表されたP3相PROpel試験の結果に基づくもの。
P3相PROpel試験において、リムパーザとアビラテロンとPrednisone/プレドニゾロンの併用療法は、アビラテロン単剤療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを34%低下させた(ハザード比0.66、95%信頼区間0.54-0.81、p<0.0001)。
 また、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値は、アビラテロン単独群の16.6カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では24.8カ月であった。盲検下での独立中央判定(BICR)評価によるrPFS中央値は、アビラテロン単独群の16.4カ月に対し、リムパーザとアビラテロン併用群では27.6カ月となり、rPFS中央値をほぼ1年間延長させた。
 さらに、最新結果からも、リムパーザとアビラテロンの併用療法は、アビラテロン単剤療法との比較において全生存期間の延長傾向が示されたが、データカットオフ時点(イベント発現割合が40%時点での解析)では、統計学的有意差は認められなかった。
 欧州において、前立腺がんは男性では最も多いがんであり、2020年には推定47万3000人の患者が診断され、10万8000人が死亡した。mCRPC患者の全生存期間は、臨床試験では約3年で、実臨床ではさらに短くなることが報告されている。mCRPC患者の約半数は、積極的治療として一次治療しか受けられず、後治療の効果は低下する。
 リムパーザとアビラテロンおよびPrednisone/またはプレドニゾロンの併用療法は、P3相PROpel試験の結果に基づき、mCRPCの成人患者に対する治療薬として米国で優先審査指定を取得しており、審査結果は2022年第4四半期に出る予定である。

◆PROpel試験共同上級治験担当医師のNoel Clarke氏(Christie/Salford Royal Hospitals・マンチェスター大学泌尿器外科医・泌尿器腫瘍学教授)のコメント
 欧州において、mCRPC患者さんの治療選択肢は限られている。この種の進行性前立腺がんは予後不良であり、初診後の治療決定が極めて重要である。
 欧州においてリムパーザとアビラテロンの併用療法がmCRPCの治療薬として承認されれば、多くのmCRPC患者さんにとって、非常にニーズの高い新たな治療選択肢となるだろう。

◆Susan Galbraithアストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&D責任者のコメント
 今後数十年間で前立腺がんの患者数および死亡数が倍増すると予想されるため、新たな選択肢をその治療に適した患者さんに可能な限り早い段階で提供することが、治療過程においては最も重要である。
 リムパーザとアビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンとの併用療法が承認されれば、欧州の患者さんにとって使用できるPARP阻害剤と新規ホルモン製剤による初の併用療法となる。

◆Eliav Barr MSD研究開発本部グローバルクリニカルディベロップメント責任者兼チーフメディカルオフィサーのコメント
 前立腺がんの治療はここ数十年でかなり進歩しているものの、mCRPCに対する治療薬は限られ、これらの患者さんは新たな治療選択肢を早急に必要としている。我々は、リムパーザとアビラテロンおよびPrednisone/プレドニゾロンとの併用療法を、欧州の患者さんに1日も早くお届けできるよう全力を尽くして取り組んでいく。

タイトルとURLをコピーしました