2022年米国腎臓学会腎臓週間でフォシーガによる早期治療データ発表
アストラゼネカは7日、慢性腎臓病（CKD）の早期スクリーニングと診断の重要性、およびフォシーガの医療費削減効果に関する新たなデータを発表した。同データは、米国フロリダ州オーランドで開催された2022 年米国腎臓学会腎臓週間（ASN Kidney Week 2022）において公表されたもの。
これらの試験結果は、同時期にJournal of the American Society of Nephrology 誌でも発表された。
全世界で8億5000万人がCKDに罹患し、有病率は上昇しているが、患者の大多数が診断を受けていない状況にある。国際共同REVEAL-CKD 試験のデータから、試験対象国（米国、イタリア、ドイツ、日本およびフランス）において、61.6%から 95.5%の高い過小診断率であったことが明らかになった。
CKDと診断されていない推算糸球体濾過量（eGFR）がCKDステージ3 に相当する30mL/分/1.73㎡以上60 mL/分/1.73㎡未満の患者について、各国固有の電子カルテおよび保険請求状況の分析を行った。
さらに、この分析から、患者は、一度診断されれば、適切にCKDのモニタリングと疾患管理を受け、患者さんの実生活にベネフィットがもたらされることが示された。
CKDの診断を受けることの重要性は、年間の腎機能低下への影響、つまり eGFR スロープから明らかである。REVEAL-CKD試験では、CKD診断前後のeGFR低下を評価し、その結果を2万7000人の患者について米国 TriNetX データベースに記録した。
これらの患者のCKD診断前の2年間におけるeGFR低下の中央値は、-4.12（95%信頼区間［CI］:-4.23、-4.02）であり、診断後の2 年間におけるeGFR低下はわずか-0.30（95% CI:-0.44、-0.14）であった。
一方、患者ニーズに加えて、特に腎不全や心腎関連イベントに進行した場合、CKD に関連する多額の医療費がかかる。INSIDE-CKD では、臨床イベントの発現率低下という直接的な医療費への効果を推計した結果、フォシーガは、CKD の進行を遅らせ、心腎イベントの発現率を低下させることにより、医療資源の利用減少を示した。全23ヵ国の10万人の患者において、患者に標準治療に追加してフォシーガを併用投与した場合標準治療単剤と比較して、医療費は33%減少し、3 年間で2億0500万米ドルのコスト削減が実現すると推計した。
ASNで発表した DAPA-CKD データのもう一つの分析では、フォシーガの投与により、2 型糖尿病（T2D）の有無にかかわらず、CKD 患者のあらゆる原因による入院率が低下した。これらの結果は、患者の生活の質だけでなく、CKD治療に起因する全体的な医療負担や支出にも影響することを意味する。
アストラゼネカでは、ASN Kidney Week 2022 での早期診断とスクリーニングの緊急の必要性に関するデータ発表のほか、国際腎臓学会（International Society of Nephrology）による「この1分間のクイズ」作成も支援した。このクイズは、患者に CKD のリスクがあるかどうかについての気付きを提供し、医師と会話を始める際に知っておくべきリスク因子に関する詳細な情報を提供するものである。
◆Dr. Navdeep Tangriマニトバ大学（カナダ）医学部内科学教授のコメント
医療制度が十分に確立され、資金も潤沢な国でさえ、慢性腎臓病の過小診断率は憂慮すべき高さである。REVEAL-CKD から得られたこれらのデータは、患者さんがガイドラインに沿ったモニタリングおよび治療を受けられるよう、早期腎疾患の積極的なスクリーニングおよび診断の必要性を強調するものである。
これにより、腎不全やその他の重篤な併存疾患への進行を予防または遅延させることができる。
◆Mene Pangalosアストラゼネカバイオファーマ研究開発部門担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
慢性腎臓病は診断されないままの患者さんが多い、進行性のサイレントキラーである。ASN Kidney Week 2022 で発表されたこれらのデータは、慢性腎臓病に関連する費用と患者の生活にかかる負担に関する包括的な見解を示しただけでなく、フォシーガがいかにこの負担を大幅に軽減し、あらゆる原因による入院率と医療資源利用を低下させるかも示した。
予防的治療戦略の必要性を強調しながら臨床診療ガイドラインの治療を完全に実行した場合、患者さんの腎臓有害事象、死亡および心血管アウトカムのリスクが改善するものと思われる。
