大阪急性期・総合医療センターシステム障害で手書き処方箋への適切な対応を周知徹底 大阪府薬

乾氏

 10月31日未明より大阪急性期・総合医療センター(大阪市住吉区)の電子カルテがダウンしたシステム障害への対応として、大阪府薬では、会員保険薬局に対して、手書きの院外処方箋による安心・安全な調剤、服薬指導、疑義紹介の周知徹底を図っている。2日に開催した定例記者会見で乾英夫大阪府薬会長が明らかにしたもの。
 同システム障害は、サイバー攻撃によるもので、三日目の今日も復旧の目途が立っていない。乾氏は、「頻繁な薬局から病院への疑義紹介が必要となるので医療機関や薬局の負担が増える」とした上で、「システム障害という非常事態では、リアルでの対応を余儀なくされる。広域病院なので大阪府下全体に患者分布が広がっている。各保険薬局では、適切に手書き院外処方箋を応需してほしい」と呼びかけた。
 定例記者会見では、「電子処方箋管理サービスの導入」や、来年8月に開催予定の「大阪府薬学術研究カンファレンス」、「MCS(メディカル ケア ステーション)大阪府薬災害対策連携グループ運用マニュアル」について説明された。
 未だシステム障害が解消されていない大阪急性期・総合医療センターでは、現在、新規や救急患者の診療は行っておらず、定期の予約患者のみの診察を通常通りの実施している。投薬する場合は、患者が持参する紙の‟お薬手帳”を参考に手書きの院外処方箋を発行している。
 乾氏は、「30年前は、手書きの処方箋応需は当然であったが、現在では臨時的な対応になっている」と明言。その上で、「同センター薬局長から、保険情報等一部記載に不備がある処方箋は、システム復旧後に差し替え処方箋を郵送する。また、疑義紹介がある際には、通常通り行ってほしいとする主旨が通達されている」と報告した。
 大阪府薬としての対応についても、「今回のような事態が起こった場合、処方箋応需薬局や薬剤師をどのようにサポートすればよいのか今後しっかりと検討していきたい」と断言。さらに、「紙のお薬手帳では、全ての処方内容が貼られていないケースも考えられる。患者さんに掛かり付け薬局を決めて頂ければ、全ての処方が網羅されて、しっかり対応できることを市民に訴求しなければならない」と強調した。
 電子処方箋管理サービスの導入については、乾氏が「オンライン資格確認の整備ができれば、HPKI発行申請後にオンライン資格確認サポートサイトで申請完了の登録が必要になる」とその手順を説明。電子処方箋のメリットとして、「直近データを含む最大過去3年分の薬剤データの閲覧が可能」、「入力項目チェック、重複投与チェックの活用により、問合せの手間が削減」、「処方・調剤する薬剤薬剤について、重複投与や併用禁忌のチェックが可能」、「処方箋のレセコンなどへの入力の負担や、保管・管理作業の軽減」ーを挙げた。
 来年8月に開催予定の「大阪府薬学術研究カンファレンス」は、近畿薬剤師会学術大会や日薬学術大会での開局発表者養成を目的としたもの(道明雅代副会長)。大阪府薬独自の地域ブロックで、薬局薬剤師の未完成の成果・研究・取り組みの発表の場を設ける。

宮田氏


 宮田憲一副会長は、「学術的・科学的だけではなく、地域で医療活動などの未完成の成果・研究・取り組みや地域薬剤師会の三師会連携などを発表し、基本倫理審査の要らない発表会としたい」と説明した。カンファレンスは、大阪府薬会館からのWeb配信形式となる。
 MCS大阪府薬災害対策連携グループ運用マニュアルは、大阪府薬と地域薬剤師会が一定の認識のもと、MCSを利用した同グループを運用するために策定するもの。
 大阪府薬が、大規模災害時において大阪府内の地域・職域薬剤師会へ薬剤師等の派遣の必要性を判断するため、薬局の営業状況、被災状況等を一元に把握、同会からの事務連絡を目的として災害対策連携グループを使用する。MCSの訓練を来年3月と9月に開催する(宮田氏)。
 一方、年3回開催している「健康サポート薬局に係る技能習得型研修会」は、13日にWeb開催される(道明氏)。

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