メンタルヘルスリテラシー意識調査で「精神疾患症状への低い理解」、「情報入手に不安」が判明 ルンドベック・ジャパン

 ルンドベック・ジャパンは、世界精神保健連盟が定める世界メンタルヘルスデー(10月10日)に先立ち実施したメンタルヘルスに関するリテラシー(知識や認識)を測るインターネット調査結果を公表した。
 調査時は、精神疾患で6か月以上の通院経験のある患者さんと通院経験のない一般の人の各500人、合計1000人を対象に実施したもの。
 調査結果では、患者の方が一般人よりメンタルヘルスのリテラシーが高い傾向にあるものの、総じて精神疾患の症状理解や情報入手への自信は低く、重症化を防ぐための早期介入、早期受診につなげるためにもメンタルヘルスに関するリテラシー向上は重要な課題であることが明らかになった。

◆同調査監修者の張賢徳氏(六番町メンタルクリニック院長、帝京大学医学部附属溝口病院精神科客員教授)のコメント
 本調査は、メンタルヘルスのリテラシーを問う国際的な尺度である「メンタルヘルスリテラシー尺度(MHLS)」を使用して、広く日本の患者さんと一般の人を対象に実施した調査となる。
 今回の調査結果を通して明らかになった精神疾患の症状、相談窓口の認知・理解の低さや専門家・周囲へ相談することに対する躊躇は、臨床現場でも同様の傾向が伺え、日本においてメンタルヘルスに関するリテラシー向上の必要性を強く感じる。
 特に、公的な相談窓口の認知が患者さんであっても約5割に留まり、多くの人が情報の入手に自信がない現状は、早期介入の遅れによる重症化につながる可能性があり、リテラシーを高める継続的な啓発活動が重要であると考える。

 メンタルヘルスに関するリテラシー調査の概要及び結果のハイライトは次の通り。

【調査概要】
調査手法 :オンライン定量調査 (実査委託先:楽天インサイト)
調査地域 :全国(割り付けなし)
対象者 :10代(15歳~)~60代の男女 1000人、
年代・性別均等割り付け(各50人に達したところで調査終了)
A. 不安症、うつ病、躁病、双極性障害(躁うつ病)、統合失調症のいずれかで、6ヶ月以上の通院経験がある患者500人
    B. 精神疾患での通院経験がない一般生活者 500人

◆実査日程 :2022年7月15日~18日

【調査ハイライト】
1、主な精神疾患8種の認知度の平均は、患者60.6%に対して一般の人は38.9%
 主な精神疾患8種についての認知は、患者が平均60.6%であるのに対し、一般では38.9%と低い傾向。うつ病の認知度は一般の人・患者とも9割を超える一方で、一般の人のうつ病を除く精神疾患認知度は19.6%~51.0%と低く、うつ病に限らず様々な精神疾患全般への認知を高める必要性が浮き彫りとなった。

2、一般の人の45.2%が、最も身近な精神疾患であるうつ病の症状をよく理解していない
 うつ病の認知が一般の人・患者とも高い一方で、一般の人はうつ病の症状を理解していない人が45.2%であった。疾患名の認知はあっても、具体的な症状の理解には至っていない人が多いことが明らかになった。

3、精神疾患に関する情報入手に自信を持つ人は、一般で20.7%、患者でも37.1%に留まる
 情報入手に関する設問のうち、そもそも「どこで情報を探せばよいか」について自信を持つ人が、一般および患者とも最も低い結果であった。情報を容易に入手できる環境が整っていない可能性が示唆された。

4、患者であっても公的な相談窓口の認知は約5割に留まる
 公的なメンタルヘルスの相談窓口として、保健所の認知は、患者、一般の人それぞれ52.8%、40.8%、精神保健福祉センターの認知は、患者、一般の人それぞれ47.6%、29.2%であった。

5、自分が精神疾患になった場合に、4人に一人は「誰にも言わない」と回答。専門家への助けを求める人は、患者さんで6割、一般の人で5割に留まる。
 精神疾患になった場合、「誰にも言わないと思う」と答えた人は約4人に一人。「どちらとも言えない」と答えた人は、患者37.6%、一般の人48.0%。周囲に話すことについての何らかの障壁があると推察される。
 また、精神疾患になった場合に専門家のサポートを求めることについて、一般の人の44.0%が「どちらとも言えない」と回答しており、受診への躊躇が見受けられる。
 精神疾患も他疾患と同様に重症化させないためには早期介入が重要である。未知からくる偏見(スティグマ)をなくし、精神疾患の症状に気づいた際には、早期に受診するような知識の向上が求められる。

6、「世界メンタルヘルスデー」の認知度は、一般の人で12.8%、患者で18.0%

 世界メンタルヘルスデーについては、10人に一人しかこの記念日の名称を認知していないことが明らかになった。今後は、記念日の趣旨である「メンタルヘルス問題に関する偏見を無くし、正しい知識の普及を目的とした記念日であること」の理解が社会に浸透していくことが期待される。

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